婦人科は女性のQOLを上げる手助けができる
婦人科は妊活を考えていない女性にとっても、思春期から老年期までの健康を守る場所といえます。
たとえば月経痛がひどくて勉強や仕事に支障が出ている方は、婦人科で治療すればQOLを上げることができるでしょう。月経痛があるのは普通のことだと思って、市販の鎮痛薬を飲みながら頑張る方も多いのですが、理想として目指したいのは「つらくない月経」「痛くない月経」です。痛みがあるという時点で、もしかしたらからだに黄色信号が灯っているということかもしれませんから、我慢せずに一度、婦人科で相談してみてほしいです。
月経に関すること以外にも、QOLを下げる女性特有の症状はいろいろあります。特に更年期には体と心のあちこちに症状が出てきますので、どの診療科を受診したらいいのかわからないということも多いでしょう。もし女性のからだで心配なところがあったら、婦人科がひとつの入り口になると考えてほしいです。たとえば更年期に多い甲状腺の異常は、甲状腺疾患専門の内科の領域ですが、婦人科で症状をうかがってチェックが必要だということになれば血液検査を行い、異常が見つかった場合、専門の医療機関に紹介することもできます
更年期以降に多い尿失禁や頻尿のような泌尿器科系の病気も、重症の方には泌尿器科の受診をお勧めしますが、症状によっては婦人科で相談を受けることも可能です。尿もれの原因のひとつに、高齢女性に多い子宮脱(骨盤臓器脱)があります。子宮が下がっていないかの診察を婦人科で行い、下がっているようであれば、骨盤底筋体操を紹介したり、子宮を支えるリング状の器具を腟の中に入れる治療をしたりすることで子宮脱や尿もれを改善できます。
「産婦人科は妊婦さんが多くて行きにくい」という声もよく聞きます。クリニックによっては産科と婦人科を分けているところもありますし、最近では10~20代でも通いやすいユースクリニックも少しずつ増えてきています。ユースクリニックでは、産婦人科医や助産師、保健師などの専門家が気軽に相談に乗ってくれますので、近くにあればぜひ足を運んでみてください。
【それぞれの婦人科系疾患について、詳しくは「性知識イミダス:女性特有の病気①婦人科系疾患について知ろう(基礎知識編)」をご覧ください】
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不妊症の定義は「妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間(約1年間)妊娠しない状態」とされています。「一定期間」については男女の年齢や状態によっても変化すると言われています。
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消退出血とは女性ホルモンが低下することによって、子宮内膜が剥がれて起こる出血のことで、通常の月経や低用量ピルの休薬期間の出血を言います。