中絶(人工妊娠中絶)は、妊娠何カ月まで受けられるのか。妊娠初期と中期では何が違うのか。どのような方法があるのか。男性の同意が必須ではないケースとは。日本における規定や、具体的な中絶法、費用などをまとめました。〈監修:遠見才希子医師(産婦人科医)〉
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母体保護法で定められている中絶の条件
母体保護法に基づき、以下の条件を満たした場合は、刑法第212条などが定める堕胎罪などの違法性が阻却され、中絶が合法となる。
・1[中絶理由]
(1)身体的または経済的理由により妊娠の継続または分娩が母体の健康を著しく害するおそれのあるもの、(2)レイプ被害等によって妊娠したもの、のいずれかにあてはまること。
・2[妊娠週数]
胎児が子宮外で生命を継続することができない時期=妊娠22週未満(妊娠21週6日まで)であること。22週以降はどのような理由があっても中絶は認められない。妊娠週数は妊娠成立時ではなく最終月経開始日を満0日として計算する。女性が市販の妊娠検査薬で妊娠を判断できるのは、妊娠5週頃。妊娠週数は、最終月経日やエコー検査で診断できる。
・3[施行者]
母体保護法の規定により指定医師のみが行うこと。
・4[同意]
本人の同意と配偶者(法律上、もしくは事実上の婚姻関係にある相手)の同意を得なければならない。ただし、配偶者が知れないときや配偶者が意思を表示できないときは本人の同意のみで足りる。しかし、「配偶者」という文言を拡大解釈し、未婚であっても母体保護法上不要な妊娠の相手の同意を求める医師が一部存在する。また、未成年であっても、母体保護法上は適法な同意を行うことができるとされているが、全身麻酔を行う手術になる等の理由で医療機関側から保護者の同意を求められることが多い。
中絶の方法
日本では、一般的に妊娠初期(妊娠12週未満)は手術、妊娠中期(12週以降22週未満)は腟錠を用いた分娩誘発が行われる。