連邦議会を回る
訪米においては、シンポジウムのほか、アメリカの連邦議会関係者(連邦議員やその安全保障担当の補佐官)や、東アジア地域や日米の安全保障に詳しい専門家と個別に面談を行い、辺野古基地建設反対の意見を伝え、NDの報告書の内容を説明した。
議会関係者との面談では、この案に賛意を示す人も、さらなる詳細情報を求める人も、基礎的なところから沖縄の基地問題を説明せねばならない人も、さまざまであった。
共和党のある議員の補佐官は嘉手納に空軍として駐留した経験を持つ者であった。米軍のHA/DR(ハーダー。Humanitarian Assistance/Disaster Relief:人道支援・災害救援活動)の取り組みに重点を置いて議論するこの報告書について「我々が重視しているHA/DRに注目してくれてうれしい」との反応であった。
なお、この訪問で若干の興奮すら覚えながら驚いたのは、特に議会において面談する相手が、沖縄の基地問題について程度の差はあれ一定の知識を持っていることが多くなったということである。
私がこの問題で米議会回りを始めて8年になる。始めた当時は、この問題について米議会を回っても、多くの面談において、沖縄の場所を説明し、沖縄に基地の問題があることから伝えなければならなかった。その状態からすれば、隔世の感がある。
今回は多くの面談相手から、冒頭に「数カ月前に沖縄の人が来て話を聞いたから、概要はわかっている。アップデート情報を歓迎したい」との話があった。
翁長雄志沖縄県知事や稲嶺進名護市長ほか沖縄の多くの方々がアメリカに渡り、連邦議員や安全保障の専門家に沖縄の状況を伝え、辺野古基地建設への懸念を伝えるという訪米活動が頻繁に行われているが、その成果を肌で感じた。
(◆次号に続く)
※「今こそ辺野古に代わる選択を -NDからの提言-」の全文は以下NDのウェブサイトよりダウンロードができる。http://www.nd-initiative.org/topics/3372/r
また提言をまとめた書籍『辺野古問題をどう解決するか――新基地をつくらせないための提言』(岩波書店)も2017年6月に刊行された。