2345人の有効回答からなるアンケート結果を読んで突きつけられたのは、中高年単身女性たちの厳しい現実だった。
まず、回答者の就労率は84.6%と高いものの、正規職員は44.8%と半分以下。一方、非正規職員は38.7%、自営業が14.1%。ちなみに非正規職員の51.4%が「正社員の仕事につけなかったこと」から非正規で働いている。
そんな女性たちの収入はと言えば、非正規職員の52.7%が年収200万円未満。自営業の48.6%も年収200万円未満。また、非正規職員の84.1%、自営業者の67.3%が年収300万円未満。
回答者の86.1%が、自分で生計をたてている「主たる生計維持者」にも関わらず、だ。
そのため、「いつまで働くか?」という質問に対して、「働ける限りはいつまでも」「生きている限り、死ぬまで」と答えた人が全体の65.6%。
それを示すように、3人に1人は「50万円未満」の資産しかない状態。
また、非正規職員の84%弱、自営業者の68%弱が生活苦を訴えている。世代別で見ると、65歳以上の半数以上、40〜60代前半は70%超が生活苦。
自由記述欄を見てみると、女性たちの悲鳴があちこちから聞こえるようだ。まずは40代女性。
大学を卒業してずっと非正規雇用。将来は職がなくホームレス確定でしょう。(40代 独身)
就職氷河期の時代で正規雇用枠がなく、仕方なく非正規雇用で生活を繋いでいましたが、スキルを磨くこともできず、日々の生活に追われているうちに仕事先でうつ病を抱え10年ほど就労困難な状態。将来に希望が持てず、期待も生きていく意味も見いだせずにいる。(40代 独身)
高ストレスの中、必死で働いても男性正規社員の数分の一の給与。就職氷河期に社会に出るも一度も正規で雇われず。こういう人はその後も安く使ってよいという慣習。給与は生活保護並みのギリギリ、命を繋ぐだけの人生。(40代 離婚 非正規職員)
同じロスジェネとして、そしてこの20年近く、ロスジェネの声を聞いてきた身として、彼女たちの声には既視感を覚えるほどだ。それほどに、この社会はロスジェネ女性たちを見捨ててきた。
引き続き、声を紹介しよう。
いわゆるヤングケアラーでした。そしてロスジェネ世代。今日を生きるのに精一杯で、家庭や子どもを持つことを諦めました。派遣法改正とリーマンショック、東日本大震災の3次的要因で家廃業、家を失いました。どんなにもがいても正規雇用にたどり着けないまま母の闘病、諦めの境地で今の過酷な環境での仕事を続けています。それでも、国や社会からはすべて「自己責任」とされ、ひたすら耐えてきました。持病を抱えながら仕事を続けています。私が働けなくなったら、わずかな年金で暮らす障害者の母と私はどうなるのかと考えると、生きていくのが嫌になります。(40代 独身 非正規職員)
母子家庭で育ち、母も他界し誰も頼れる人もいない。今の生活もギリギリで数年先の生活がどうなるかさえ想像できない。自死したいと時々思う事さえある。余りにも格差があり過ぎて、社会から取り残されていると思えてならない。社会そのものが敵に思えることもある。こんな国に何で産まれて生きなくてはならないのか?―と思う毎日。(50代 独身 非正規職員)
病気やケガなど体が動かなくなったとき、どうすればいいのかわからない。支援があるのかもしれないが、身近に情報がない。自分の死体の始末の仕方もわからない。人に迷惑はかけたくないので、できれば自分の意思のあるうちに、苦しまず確実に自分の始末をつけられる方策が欲しい。安楽死って、ダメですか?(40代 独身 非正規職員)
贅沢がしたいとは思わないけれど、美味しいものを食べに行きたいし、趣味にも少しばかりのお金を使いたい。苦しんでいる人がいればささやかながらも寄付もしたい。2年前、幡ヶ谷のバス停で殴打され亡くなった大林三佐子さんは、未来の私かもとの思いが常にあります。このような不安が払拭される世の中になってくれたらどんなによいかと思います。(60代 離婚 自営・フリーランス)
子どもがいる女性たちの声も切実だ。
正社員で保険営業をしていましたが、コロナ禍心身限界で今年1月退職。失業保険をいただきながら、パート事務職を見つけ、働き始めてすぐ長女が感染、下の子の保育園も学級閉鎖になり、長期で休まなくてはならず、2週間働けないと時給で暮らす私達の経済は、飢えるほど苦しくなります。後半は保育園児お留守番させて働きに出ました。そうするしか無いのです。今月とうとう家賃をはじめて滞納してしまいました。都民住宅JKKですが、7万するので非常に厳しいです。(40代 離婚 非正規職員)
今生きるために働いているので将来の貯えがなく、子ども達が自立したら迷惑をかけないように早く死ぬしかないと思っている。(40代 離婚 非正規職員)