そう思ってこの国を見渡してみれば、古来から各地に「自然の脅威」を鎮めるための祭りや儀式があったり、いろんな言い伝えがあったりする。昔の人は、もっと自然とガチでコミュニケーションしていたのだ。っていうか、ジブリ映画『千と千尋の神隠し』(宮崎駿監督・脚本、東宝配給)のハクは、「川の化身」という設定だったではないか。
さて、プナンから話は大きく飛んだが、私の家の本棚には、そんな「まったく違う世界を生きる人々」の本がたくさんある。ヤノマミやイゾラドをはじめとして、世界の秘境で生きる人々の姿は、自分がいかにちっぽけで、極東の小さな島国でのローカルな価値観に縛られているかを教えてくれる。
そういうことを知ると、鬱々とした気持ちはすっかり晴れていたりする。自分とはまったく違う価値観で生きる人々がいると知るだけで、解決する悩みって実はたくさんある気がするのだ。
最近、半径5メートルがちょっと窮屈かもという人に、『ひっくり返す人類学』、オススメしたい。