景気動向指数には、「先行」「一致」「遅行」の三つがある。経済を大きな旅客機と考えると、景気動向指数は、「機首」「胴体」「尾翼」の3カ所に取り付けられたセンサーに相当し、それぞれが、機体が上昇(景気拡大)しているのか、下降(景気悪化)しているのかを示すというわけだ。
「先行指数」には、株価や、設備投資の動きを先取りする「機械受注」などのデータが反映され、およそ半年ほど先の景気動向を示すとされている。「一致指数」は小売売上高や電力使用量といった、景気の動きをすぐに反映するデータで構成される。「遅行指数」は、消費支出や法人税など、景気の動きが半年から1年程遅れて反映されるもので構成されている。
景気動向指数の算出方法は単純。それぞれの指数を構成する経済指標の中で、3カ月前に比べて上昇している項目が何%あるか(横ばいの場合は0.5とカウント)を計算し、DI(diffusion index)として示す。景気判断の分かれ目は50%。これを上回れば景気は拡大、下回れば景気は下降していると考えられるわけだ。
旅客機が上昇する際は、まず機首が上がり、続いて胴体、最後に尾翼が上がる。下降する場合はその逆だ。
景気動向指数も同じ。景気の拡大局面では、まず機首の「先行指数」が、続いて胴体の「一致指数」、最後に尾翼の「遅行指数」が50%を超えるというパターンとなる。反対に景気が悪くなる場合は、「先行指数」→「一致指数」→「遅行指数」の順に50%を割り込んでいくわけだ。
景気動向指数が発表されたら、まず「一致指数」をチェックしよう。50%を超えていたら一安心だ。しかし、「先行指数」と「遅行指数」にも注意を払っておきたい。どんなに「一致指数」が高くても、「先行指数」が50%以下なら先行きは楽観できない。「遅行指数」が50%を超えてくれば、「先行指数」や「一致指数」が多少不安定な動きをしても、景気拡大は本格的なものと判断できるのだ。
日本経済という旅客機に取り付けられた、三つのセンサーである景気動向指数。景気判断の分かれ目である50%を超えているのかどうか? 毎月発表される数値から、日本経済という旅客機の飛行状況を、頭の中でイメージしておきたい。