これが「アウトソーシング」だ。 アウトソーシングは、その言葉が示すとおり外部(out)の資源を利用(sourcing)すること。社内業務の一部を、外部の専門業者に委託することで、コストダウンを図ると同時に経営資源を得意分野に集中させ、経営の効率化を目指すというものだ。専門業者という「家政婦」に、家事に相当する業務の一部を委ね、中核業務である仕事や勉強に集中することがアウトソーシングなのである。
アウトソーシングには大きく分けて3つの種類がある。社内業務の一部を外部に委託するという一般的なアウトソーシングは「処理委託型」、データの入力作業といった実務業務のみを委託する部分的なアウトソーシングは「機能雇用型」と呼ばれている。どちらも、自社で行うことが可能ではあるものの、アウトソーシングをした方が効率的でコスト削減につながるという業務が対象となる。炊事も洗濯も、やろうと思えば自分でできるが、ミタさんにお願いすることによって、効率が上がるというわけだ。
一方、自分たちではできない業務を全面的に委託するのが「包括的アウトソーシング(組織雇用型)」だ。自社ができない業務を補完するために、専門業者に「丸投げ」するのである。「家政婦のミタ」では、阿須田家の子供たちが、「いじめっ子を殺して!」、「隣の家をめちゃめちゃにして!」と、自分ではできない無理難題をミタさんにお願いしていたが、これが「包括的アウトソーシング」に相当するというわけだ。
経営効率化には欠くことのできないアウトソーシングだが、デメリットも少なくない。アウトソーシングの過程で、企業のノウハウや経営情報が外部に流出する危険性がある。また、外部の力を頼ることで自社の開発力が低下、結果的に競争力が失われることもある。
さらに、アウトソーシングが、コンプライアンス上の問題を引き起こすこともある。顧客情報の処理をアウトソーシングしたところ、委託した業者から情報が流出するといったトラブルがその一例だが、その責任は発注企業が負うことになる。
ミタさんに頼りすぎると、子供たちは家事を覚えようとしないばかりか、「業務命令」を「承知しました」と愚直に実行しようとしたミタさんによって、結果大きなトラブルが発生、雇い主の阿須田家が非難されてしまうことになるわけだ。
経営の効率化が強く求められる中、取り入れていない企業はないといってよいほど、アウトソーシングは定着している。しかし、アウトソーシングには、デメリットもつきまとう。ミタさんはありがたい存在だが、頼りすぎるのも危険なことなのである。