森友文書の改ざん問題が大変なことになっていますね。これから、さらにどんな衝撃的な展開が待ち受けているのか。なかなかどうして、楽しみになってきました。
この問題の焦点は何でしょうか。それは、「口走り」への「辻褄合わせ」問題です。誰かが口走ってしまったことに対して、後から辻褄を合わせようとする。合わない辻褄を合わせるために、既に存在する記録を書き換える。
「ああ、あの人、あんなこと言っちゃった」偉い人がこういうことをしでかした時、下々の者は大慌てですよね。何とか、問題の「あの人」が言っちゃったことに合わせて、あったことをなかったことにしてしまう。削除、削除。書き換え、書き換え。
問題は、「口走り」の張本人が誰かということですね。誰の「あんなこと言っちゃった」が下々の中に最も大きな衝撃を走らせたのか。渦中の人物たちが江戸時代の人々だったとすれば、注目の焦点は勘定奉行とお殿様です。
勘定奉行が「越後屋さんと価格交渉なんかしておりませぬ」と口走った。でも、実は交渉しちゃっている。仕方がないから、交渉してなかったことにする。削除、削除。書き換え、書き換え。こういうことなのか。
それとも、本当の口走り人間はお殿様なのでしょうか。お殿様が、この一件について「余や奥が関係していたということになれば、余は退位する。武士も辞める」と言った。これが、下々を最も慌てさせた口走りだったのか。だから、越後屋さんと殿の奥方が一緒に描かれた浮世絵を資料の中から抜き取ったのか。奥方のお言葉に関する越後屋さんの言及の記録を消し潰したのか。殿のための削除、削除、書き換え、書き換えなのか。
殿の側近たちは、ひたすら勘定奉行とその配下の者たちに全責任を背負わせようとしています。勘定奉行の上司にあたる御家老さんも、自分の進退は考えていないという。この言い方がまたよく分かりませんね。進退というテーマに全く思いを馳せていないということなのか。それとも、辞める気なんかねぇーよということなのか。
そのいずれでもないという解説もありますよ。それによれば、あの言い方は、「自分の進退は殿様マター」ということを意味するのだそうです。つまりは「拙者を辞めさせられるものなら、辞めさせてみろ」と殿を脅し上げているというのです。
江戸時代には、講釈師の先生や瓦版屋さんたちが、お城周りのスキャンダルをただちにテーマに取り上げて、リアルタイムで見てきたような絵解き・謎解きを披露してみせたものです。彼らなら、この平成の大改ざん物語をさぞや辛辣(しんらつ)に語ってくれることでしょう。真相解明に向けて、彼らの巧みさと知恵を拝借したいものです。どうぞ、タイムスリップして来て下さい。