「私たちは、1月から2月、5月から6月、9月から10月の年3回、フードドライブのキャンペーンを実施しています。そのほかに、各生協や地域のロータリークラブなどが、独自のフードドライブをやってくださっています」
フードドライブのキャンペーンには、県内の社協を中心に70以上の団体が参加し、キャンペーンの周知と市民からの食品受付の窓口(約100カ所)を各団体が担っている。加えて、千葉県内の生協(「コープみらい」「パルシステム千葉」「生活クラブ生協」「なのはな生協」「千葉県庁生協」)も、それぞれ店舗や独自の配達ルートを使ってフードドライブを実施し、集まった食品をフードバンクちばへ届けてくれる。
「例えば、パルシステムさんや生活クラブさんでは、各家庭に品物を配送する車が、帰りに家庭で余っている食品を載せてくるんです」
こうしてフードバンクちばに集められた食品は倉庫に保管され、社協や福祉施設、ホームレス支援団体、こども食堂などを通じて必要な人に配られる。生活困窮者は、各支援機関に出向いて食品を受け取るか、支援機関を通じて「食品配達申請書」をフードバンクへFAXで送り、宅配便で受け取る。フードバンクちばからは、毎月200件前後の宅配便が発送されている。困窮者個人ではなく、支援機関を通してやりとりをすることで、必要な福祉的な支援や法的な支援にもつながれるようにしている。
市民が支える
フードバンクちばの事務所兼倉庫は、千葉市中央区のショピングセンターなどが立ち並ぶ商業エリアにある。以前は店舗兼レストランとして使われていた大きな平屋建物を、地元ロータリークラブの仲介で安く賃貸できることになり、2020年11月に引っ越してきた。前の拠点の2倍以上の広さがあるという。取材の日、そこではスタッフ2人とボランティア3人が働いていた。
「子育ても終わったし、家事の合間に時間があるので、お手伝いしています」
そう気さくに話すのは、入り口から奥の部屋へと伸びるスペースで仕分け作業をする60代の女性だ。所狭しと積み上げられた箱の中の食品を、賞味期限別に分けていく。半年ほど前に近くへ引っ越してきて以来、週1回はボランティアに来ていると、微笑む。
「人手が足りなければ、いつでも来ます」
入り口左手の広いスペースには、缶詰、レトルト食品、調味料など、種類と賞味期限別に分けられた食品が、整然と棚に並べられている。米は、県内の農家や農業協同組合(JA)から寄付された玄米を専用の機械で精米し、一人分2キロのビニールパック詰めにする。それらをボランティアが、個人宅へ発送するダンボール箱へと詰めていく。1〜2人世帯と3〜4人世帯、二つの異なるサイズの箱に、1〜2週間分を想定した計7〜10キロの品物を入れる。
「ボランティアの方には、支援団体から送られてくる食品配達申請書に書かれている年齢やアレルギーの有無、持っている調理器具などに合わせて、中身を選んでもらっています」
そう説明するのは、常勤スタッフの高橋晶子さんだ。2011年にワーカーズコープちばに入り、生活困窮者支援事業に携わってきた。東日本大震災がきっかけだったと言う。
「千葉も被害がひどかったんですが、支援体制が貧弱だと気づいたんです。もっときちんとした支援の形を作り、人の役に立つことをしたいと思いました」
7年前から関わっているという60代と70代の夫婦は、退職後、たまたまテレビで「フードバンク」を知り、インターネットで自宅から比較的近いところにあるフードバンクちばを見つけて、ボランティアを始めた。
「毎週、金曜日の午後に2、3時間、楽しみながらやっています。初めの頃は、倉庫にあるおかずが少なくて、お米ばかりで申し訳ないと思いながら詰めていましたが、今はたくさん種類が揃っていて夢のようです」
と、笑顔を浮かべる。