子どもたちに持続可能な未来を示す
KOYOSI農園で収穫されたサツマイモは、2006年から銀座のビルの屋上で養蜂を行い、サツマイモも作っているNPO法人「銀座ミツバチプロジェクト」との連携で、「宝塚芋人」という洒落たボトルの焼酎に変身する。井上さんが培うさまざまな連携が、異なる事業や地域をまたいだつながりをもたらしている。
井上さんが現在、最も力を入れるのは、「北摂里山地域循環共生圏」の構築だ。北摂里山地域循環共生圏とは、環境省が第5次環境基本計画(2018年4月17日閣議決定)で提示した地域循環型の社会を創る構想を、北摂(西谷、中谷、東谷の3地区)において具現化していく取り組み。そこで掲げられた目標の多くは、井上さんたちの活躍ですでに実現している。ソーラーシェアリングによる太陽光発電と農業の両立をはじめ、バイオマスの有効利用(「徳島地域エネルギー」と連携して、木質バイオマス利用を推進中)、食の地産地消、体験型学習プログラムの作成と実施などが、それだ(https://hokuces.jp/object/ 参照)。この計画全体の実現には、地域の行政、企業、協同組合、市民組織、一般市民がネットワークを築いて、参加する必要がある。
「反原発運動の際は、行政を目の敵にしていましたが、今はうまく付き合い、流れに入ってもらうことが大切だと感じています。県と話をし、宝塚市には再生可能エネルギーに特化した地域エネルギー課もできました。これからはまちづくり全体に取り組みたい」
井上さんはそう意気込み、持続可能なまちづくりのコーディネーターとして活躍する。「これからは地域循環共生圏を、本気で創っていきます。電気だけじゃなく、あらゆる面から目の前にある状況をどう(良い方向へ)変えていくのかを考え、住み続けたいと思うまちをつくる。そうして、常に『未来』があることを子どもたちに示すことが、大切だと思うんです。夢を語り続け、それを何年かかっても形にします」
非営利型(株)宝塚すみれ発電
事業開始 : 2013年5月
人数 : 取締役3人
事業内容 : 市民発電所の開設・管理・運営、再生可能エネルギーによる発電事業、再生可能エネルギーに関する企画、調査、コンサルティング事業、再生可能エネルギーに関する講演業務
モットー :再生可能エネルギーでまちづくり