店を出て、また歩く。そろそろ新潟駅へ向かわなければ間に合わない時間になっていた。本屋まで戻ってきて、お礼を言い、地元の人が出しているジンを2冊購入。車内で読もう。宿でタクシーを呼んでもらい、急いで駅へ。途中さっきのフルーツの店が見えてきた。運転手さんすいません、ちょっとそこのフルーツの店で停めてもらえませんか、すぐ戻りますので。そう告げて店に入り、フルーツサンドを購入。トートバッグにさっと入れてタクシーに戻った。駅までの道すがら、最近あった衆院選の話を聞く。新潟で自民党が全敗したのって影響あるんですか、と聞くと、そりゃもうタクシー業界は大変です、と言った。
駅に着き、コンビニで缶コーヒーを買い、電車まで意外と時間があったので、ホームのベンチに座った。ここなら、いいだろう。缶コーヒーと、フルーツサンド。駅のホームのベンチ喫茶。冷たい風が吹いていて、雨が降っていて、人もまばらで、いい雰囲気。味は、上品な果実たちと、甘ったるくない、これまた上品な生クリーム。さらっとしているが、俺も果実なのかも、とよくわからない気分にさせてくれる逸品。電車がホームに入ってきた。
極上のフルーツサンド
雨の車窓を眺めながら新潟駅まで。駅に到着しタクシー乗り場へ。プリントアウトしていた地図を見せ、信濃川沿いのここのホテルの隣の建物までお願いします、と告げる。雨はさらに強くなっていて、窓を打つ音が聞こえる。橋を越えて左に曲がり、さらに左に左に折れると、車は川沿いをまっすぐ走ってすぐに目的地に着いた。新しく移転した、北書店。今日のライブ会場だ。
ビルの1階に入ると、通路の中程に、真っ赤な「営業中」ののぼり旗が2本も立っていた。店長が立ててくれていたのだ。三条で歩き疲れていたが、その旗を見て、元気が出た。『営業中』というアルバムのツアーなのだ。久しぶりに店長に会う。売り場は前の店より一回り小さくなっていたが、棚を寄せて椅子をうまく配置すれば40人は座れるという。軽く打ち合わせをして、用意してくれていた近所のスーパーの寿司をつまみながら乾杯。新潟のスーパーの寿司のうまさと言ったら。普段ライブ前は飲まないが、目の前に新潟の缶ビールを出されたら、飲んだ方がいいライブになるだろう、と直感で。開演まで少し時間があったので、宿のチェックインを先に済ませ、勧めてもらった茶店シャモニーへ。ここが名店であった。昔来たことがあるような気がしたが、もしかしたらもうひとつあるシャモニーの方だったかもしれない。
ライブはマイクを通さず生音で2時間弱。最後は雨の上がった信濃川沿いにお客さんを連れ出して、川を眺めながら2曲。こんなバカなことを楽しんでくれるお客さんと店長に感謝。川もずっと営業中であった。
夜の信濃川