窓の外を眺める。フェンス。大きな基地。ずーっと基地。路線バス1時間というのはけっこう長く感じた。読谷バスターミナルに着く。乗客は自分ひとり。降ろされてぽかーんとしてしまう。観光案内的なものはなく、チビチリガマへ、などの標識もない。かりゆしウェアを着たバス会社の人と目が合ったので、すいません、チビチリガマへはどうやって行ったらいいんでしょうか、と尋ねる。同い年くらいか。バス会社の男性は、歩いたらけっこうありますよ、と言う。何しに来たんですか、とつづけて聞かれて、はあ、なんとなく行ってみようかなと、と返すと、少し興味を持ってくれて、色々話をしてくれた。最後に、来てくれてありがとうございますね、と言われたのが印象的だった。バスで2つか3つ戻って、そこから歩くと近い、と教えてもらったが、もったいないなと思ったので、バスターミナルから歩いてみることにした。ところが、これが大失敗だった。歩いても歩いてもチビチリガマへ辿り着かないのだ。サンダルで足は痛い。方向感覚だけは良いと自負していたが、何か沼へずぶずぶとはまっていく怖さを感じる。大通りへ戻るのが正解だろう。ひとまずバスの通る道へ戻ることにした。