全ての小中学生と高校生に対しては、「学習権」を保障する取り組みが重要です。新型コロナウイルスの感染再拡大の可能性がある以上、オンライン教育の充実は必要不可欠であり、政府はそのために十分な財政支出を行う必要があるでしょう。
◆◆
また、現行の40人を基準とするクラス人数は「3密」状態を作り、感染リスクを避けることができません。教員の定員増によって「20人」を基準とする少人数クラスを目指すべきです。少人数クラスの実現は、教員の負担軽減と生徒一人ひとりを丁寧に教えることができる教育環境を生み出します。
一斉休校などによって減ってしまった授業時間内で、通常の学習範囲を終えようとすれば、無理な詰め込み教育へと走り、子どもたちに新たなストレスや学力格差の拡大をもたらしかねません。学習指導要領の運用を弾力化し、「学習内容の精選」を進めることが大切です。感染症対策として毎日の消毒、清掃、健康チェックなど、学校ではこれまでにない業務が増加します。教員の過剰労働を助長しないよう、感染症対策用の人員を新たに確保することが望ましいでしょう。
感染リスクを可能な限り避けながら、子どもたちの学習権を保障するためには、周到な準備と丁寧な取り組みが欠かせません。4月後半から6月初旬にかけての「9月入学」議論は、それがなければ「コロナ災害」下での今後の学校教育の準備のために使うことができた貴重な時間を奪ってしまいました。この点でも、結果的に実りのなかった「9月入学」議論を活性化させた政治家の皆さんの責任は重いと思います。
若者の要望に便乗して、政治家の皆さんが「9月入学」の主張を自分たちのパフォーマンスに利用することは、「若者のミカタ」とはかけ離れた行為です。若者の要望から彼らの困難な状況を深く理解し、彼らの充実した学校生活のためにできる限りの支援をすることが、社会や政治の側に強く求められていると思います。