「チャゴスの家は立派だった。死ぬ時だけは、あの島の家で死にたい」
目の前には、光に満ちあふれた瑠璃色のインド洋が広がっている。
「トム・ソーヤの冒険」を著した米作家マーク・トウェインは、その美しさから「神はまずモーリシャスを作り、それを真似て天国を作った」と語ったという。
私がその話を持ち出すと、90歳のリタが強く否定した。
「違うわ。神は最初にチャゴスを作ったよ。それに似せて、モーリシャスや天国を作った。今は戦闘機に汚されているけれど、チャゴスはそれほど美しいのよ」
(2015年3月)
*2016年、米軍が使用しているチャゴス諸島・ディエゴガルシア島の租借契約がさらに2036年まで20年間延長された。国連の国際司法裁判所は2019年、イギリスはチャゴス諸島の統治権を「可能な限り迅速に」放棄すべきとする勧告的意見を出したが、イギリス政府は応じる姿勢を示していない。