新型コロナウイルス対策として、緊急事態宣言の前段階の深刻な状況で行われる措置。2021年2月に施行された改正新型インフルエンザ対策特別措置法第31条の4に基づき、政令で定められた。緊急事態宣言が最も深刻な「ステージ4」、つまり「爆発的な感染拡大、深刻な医療提供体制の機能不全を避けるための対応が必要な状態」と判断された地域に適用されるのに対し、まん延防止等重点措置(以下、重点措置)は、その下の「ステージ3」、つまり「感染者の急増及び医療提供体制における大きな支障の発生を避けるための対応が必要な段階」において、あるいはそれ以外であっても感染状況を勘案して適用される。
また、緊急事態宣言は全国的かつ急速なまん延を抑えるために政府が定めて都道府県単位で適用されるのに対し、重点措置は、特定地域からのまん延を抑えるために政府が対象となる都道府県と期間を定め、対象となった都道府県の知事が、適用地域を市区町村などの単位で決定する。
継続できる期間は6カ月以内で、延長は何回でも可能(緊急事態宣言は2年以内で、1年を超えない範囲で複数回の延長が可能)。
重点措置が決定されると、知事は対象地域の飲食店などの事業者に対して、飲食店における営業時間の短縮やアクリル板の設置、対人距離の確保、マスク着用、手指消毒、換気の徹底その他を要請または命令することができる正当な理由なく命令に応じない場合は、20万円以下の過料が科される(緊急事態宣言では30万円)。
ただし、重点措置で要請・命令できるのは時短までで、「休業」については緊急事態宣言が発令されなければ要請・命令できない。
重点措置によって要請・命令できる内容としては、他に、従業員へのPCR検査受診の勧奨、店舗や会場への入場者制限、症状がある人の入店・入場禁止、感染予防を行わない人の入店・入場の禁止などがある。
当初、「まん延防止等重点措置」は、政府答弁や報道などで「まん防」と略されていたが、魚の「マンボウ」を連想させる「ゆるいイメージ」でふさわしくないなどの指摘を受けて、4月2日の衆院厚生労働委員会で田村憲久厚生労働相が「そういう言葉は使わないようにと思っている」と答弁。現在は報道などでも、「重点措置」と略されることが多い。
現在の緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の実施状況については、内閣官房ウェブサイト内のページで確認することができる(https://corona.go.jp/emergency/)。