公益通報者保護法とそれに基づく指針(内閣府告示)に基づき、勤め先の企業や官庁などの不正を通報した人(いわゆる内部告発者)を解雇や懲戒処分などの報復から保護する制度のこと。公益通報者保護法は2006年に施行され、公務員や民間企業の労働者が通報したことによる解雇や契約解除を無効とするとともに、降格や減給など、通報者に不利益となる取り扱いを禁止した。2022年には、通報者の保護を強化する改正法が施行された。
この改正により、従業員数が301人以上の企業や組織では、内部公益通報への対応を担当する「公益通報対応業務従事者」(従事者)を定めることが義務づけられた(300人以下の企業は努力義務)。従事者は、組織の長や幹部からの独立性が確保されなくてはならない。従事者以外は通報者の特定に関わる情報を扱ってはならず、従事者は守秘義務を負う。守秘義務は異動や退職後も続き、これに違反した場合、刑事罰として30万円以下の罰金を科せられる。
2025年3月19日、斎藤元彦兵庫県知事が内部告発された問題で設置された同県の第三者調査委員会が同県に報告書を提出した。報告書は、報道機関などに匿名で告発文書を送った元県民局長の行為を公益通報に当たると認定した。また、通報者を特定しようとした斎藤知事などの行為を「極めて不当」とし、元県民局長の公用パソコンを回収したことを公益通報者保護法とその指針に照らして「違法」、通報を理由に元県民局長に対して行った懲戒処分について同じく「違法」「無効」とした。