避難情報の1つ。旧称は「避難準備・高齢者等避難開始」だったが、2021年5月20日の災害対策基本法改正に伴って改称した。避難指示が発令される前に高齢者や避難行動要支援者等の避難を促し、円滑に進めるために発令される。
市町村からいきなり警戒レベル4相当の「避難指示」(対象地域の全住民が危険な場所から避難)が発令されて混乱が起こらないように、2021年5月20日以降、「避難行動要支援者」とその支援者らが危険な場所から安全な場所に避難することを促す警戒レベル3相当の避難情報として定められた(→「警戒レベル」)。避難行動要支援者とは、高齢者や障害のある人、福祉施設や医療施設の入所者、乳幼児を抱えた保護者や妊産婦、外国人等、避難により多くの時間を要する人のことを指す。
また、土砂災害警戒区域や特別警戒区域、および急激な水位上昇の恐れがある河川沿いの住民等も、準備が整い次第、この段階での避難を率先して実行することが望まれる。要するに、先手必勝を心掛けることである。これら以外の地域の住民も、平常時と同様の外出行為を見合わせ、いつでも避難できるように準備し、危険を感じたら自主的に避難することが望ましい。
「高齢者等避難」は、避難指示が発令される前段階の情報であるから、この段階で、住民だけでなく、市町村が避難指示に備えて避難所開設の準備、備蓄物資の確認や非常電源設備の点検等も行うことが求められる。当該市町村に立地する防災関係機関(警察・消防等)でも、住民の避難を円滑に進めるための準備が必要である。さらに、福祉施設や医療施設等の管理者は、入所者の避難を開始するべきである。
高齢者等避難
(関西大学社会安全学部教授)
2021/11/16