中央省庁と地方自治体の情報システムを統一し、行政手続きのオンライン化を進め、さらに「デジタル社会の形成」を推進することを目的に、2021年9月1日に発足した行政機関。同年5月12日に参議院本会議で可決成立した「デジタル庁設置法」は、「デジタル社会の形成に関する内閣の事務を内閣官房と共に助ける」ことを任務とし(第3条)、「デジタル社会の形成のための施策に関する基本的な方針に関する企画及び立案並びに統合調整に関する」事務を行うとしている(第4条)。
同庁の長は内閣総理大臣で、担当閣僚としてこれを補佐するデジタル大臣、その下に事務方のトップとなるデジタル監(事務次官に相当)を置く。
デジタル庁の目標は、中央省庁と地方自治体の情報システムの統合調整である。現在は、それぞれの機関が仕様の異なる情報システムを運営しているが、同庁はその統合を進めることで、情報の共有や連携を図る。具体的には、中央省庁のシステムの標準化に加え、地方自治体でも、25年度までに、住民基本台帳や住民税など、17の分野で標準化を図り、全国共通の基盤(ガバメント・クラウド)を整備する予定。
こうした統合調整のために、各省庁のシステム関連の予算は同庁に一括計上される。また、必要な場合は、関係行政機関の長に対して勧告を行う権限を持つ。
ただし、従来、個人情報保護の法令が各自治体でバラバラに定められてきた経緯があるため、中央省庁と地方自治体のシステム統合によって、自治体によっては保護の内容が後退する恐れも指摘されている。
同庁のもう一つの目的は、マイナンバーカードの普及と運用拡大である。スマートフォンにカードの機能を搭載できるようにするほか、カードを健康保険証として使える医療機関を増やし、運転免許証との一体化を実現するなどの目標を掲げている。