他人に薦めたい、応援したい対象の人やモノを指す表現。「推し(おし)」を熱心に他人に薦めたり、「推し」を応援したりすることを、「推し活(おしかつ)」と言う。
もともと、アイドルグループのファンたちが、自分のお気に入りのメンバー=一推しのメンバーを指して使っていた「推しメン」という言葉が縮められて「推し」となったといわれる。その後、アニメのキャラクターやユーチューバー、スポーツチームから飲食物まで、同種の中で最も好きなものを指す言葉として様々な領域で使われるようになった。
電機メーカー・パナソニック株式会社が発表した「20~50代女性『推し活』に関する調査」(2022年5月20日)によれば、20~50代女性の約5人に1人が「現在推し活をしている」と回答。「推し活」の対象はアイドル(37.0%)、アーティスト(ミュージシャン、30.7%)、K-POPアイドル・アーティスト(18.4%)、アニメ(17.7%)、漫画(16.8%)など。「推し活」をしている人の92.2%が「推し活を通じて人生が変わった」と答えている。「推し活を通して得たものは?」という質問に対しては、「楽しみ」「活力・元気」「幸せ」という回答が上位を占める。
「推し活」の広がりを受けて、関連商品も増えている。CDやグッズなどにとどまらず、「推し」のイメージに合わせた香水や、「推し」の写真を入れて持ち歩けるホルダーなども登場し、さらにはホテルが宿泊部屋でライブ活動が楽しめるようプロジェクターやミラーボールなどを提供する「推し活プラン」を企画するなど、「推し活」消費は多様化し、規模を拡大している。
2021年1月には「推し活」に熱中する女子高校生を描いた宇佐見りん『推し、燃ゆ』が第164回芥川賞を受賞して大きな話題になった。
「推し」に関連する用語として、例えばアイドルグループの中のメンバーなど、自分と誰かが「推し」としている対象が同じである状態を指す「推し被り(おしかぶり)」や、「推し」が別の対象に変わることを指す「推し変」、「推し」に深くのめり込むことを指す「沼に落ちる」などがある。