「未確認飛行物体(UFO)」を含む、正体が分からない空中の現象のこと。2020年以降、アメリカ国防総省がそのように呼ぶようになった。
国防総省は2022年7月にUAPを調査する「全領域異常対策室(AARO)」を設置し、以後、年次報告書を刊行している。2023年1月に発表したUAPについての年次報告書では、説明がつかないUAPの報告が17年間で510件に上ったとしている。多くはアメリカ軍のパイロットなどによる報告だ。ただし、同報告書は「地球外の技術の存在を示す証拠はない」とも記している。
UAPには、推進装置も見当たらないのに高速で飛行したり、空中で静止していたかと思うと急に動いたりといった説明のつかない行動をするものが多い。
23年8月には、国防総省が関連情報を公開するウェブサイトを開設した(https://www.aaro.mil/)。アメリカ軍機が撮影した映像や報告書などが掲載されている。典型的な報告は、白、銀色、あるいは半透明の1メートルから4メートルほどの円形の物体が高度3キロから9キロの上空に浮かんでいるのを目撃するといったものだという。
同サイトではUAPとして誤認されやすいものとして、気球や無人機、人工衛星などを挙げている。
アメリカ国防総省がUAPについて調査を行うのは、そのなかに、敵対国の新兵器など、安全保障上の脅威が含まれている可能性を懸念してのことである。
2024年6月6日には、日本でも超党派の「安全保障から考える未確認異常現象解明議員連盟」が設立され、会長に自民党の浜田靖一国対委員長、幹事長に小泉進次郎元環境相がそれぞれ就任した。同議連は設立趣意書で、UAPが他国の秘密兵器や無人偵察機のようなものであれば、日本の安全保障にとって脅威となり得るとしている。