アメリカの非軍事的な2国間援助を中心的に担う組織。国際開発庁とも言う。1961年、当時のジョン・F・ケネディ大統領がそれまで複数あった国際援助機関を一つにまとめ、非軍事援助に関わる一元的な機関として設置した。国務省の外局として同省から独立しており、大統領がその長官を任命する。2024年1月時点で職員数1万人以上で、その3分の2は国外で活動している。60カ国以上に拠点を持ち、100カ国以上で活動を展開している。予算は約400億ドル。感染症対策などの医療支援や人道支援、経済開発援助、民主化支援などを、各国政府やNGO、企業などと連携して行っており、アメリカの「ソフト・パワー」として外交上、重要な役割を担っている。近年は、予算の多くはウクライナやサハラ以南アフリカ諸国への支援に使われている。
2025年1月20日、アメリカ・ファーストを掲げ、対外支出などの見直しを掲げるドナルド・トランプがアメリカ大統領に就任。3月28日にはルビオ国務長官が、USAIDを7月1日までに解体し、その機能の一部を国務省に統合する意向を議会に通知した。7月10日には、ルビオ国務長官がUSAIDの援助プログラムの8割以上を廃止することを明らかにしている。
アメリカは世界最大の国際援助国であり、USAIDの活動の縮小は、多くの国に影響を与えると見られている。特に医療・保健支援を受けているアフリカ諸国では、薬を求めるエイズ患者や最貧困層などが必要な医療支援を受けられなくなるなど、世界中の人道支援プログラムに深刻な影響を与えることになる。