ですが、顔を合わせて同じ空間で対戦相手と勝負する楽しさは、やはりオフラインでしか味わえません。それに、一緒に遊べる、一緒に高め合える、一緒に楽しみを共有できる仲間がいるからこそゲームは楽しい。だから私は、こういった皆の居場所を大切にしていきたいと思っています。
スタジオ経営をして、格闘ゲーム以外のゲームコミュニティー運営者と交流できることも非常にいい刺激となっています。ゲームタイトルが違うと全然コミュニティーの雰囲気が違っていたりしますし、そのコミュニティーならではのよさを知ることができます。そういった面でも、このスタジオを作ってよかったな、と思っています。
プロゲーミングチームの運営を開始
17年の夏には、ゲームが大好きな女性の活動を応援するための、女の子のゲーミングチーム「P2G」(Project Gaming Girls)も設立しました。
ゲーマー人口は圧倒的に男性が多い。ですからゲームが好きで、「イベントに参加してみたいな」「コミュニティーの輪に入ってみたいな」と思う女性がいても、なかなか一歩を踏み出すハードルが高いのが現状です。
そこで、初心者の女性でも安心して参加できるイベントを作りたい。そんな思いに共感してくれる女性ゲーマーたちとチームを作りました。チームメンバーに支えられながら、今年はその彼女たちと東京以外の場所でもイベントを開催したいと思い、準備をしています。女性ゲーマーがもっと増えると嬉しいですし、チームメンバーそれぞれの活動も応援できたらいいなと思っています。
そうして、いよいよ18年。今年はプロゲーミングチームの運営を始めました。
気づけば毎年何か新しいことに挑戦していますね。これまでに積み重ねてきた私たちの活動に共感・応援してくださるスポンサー企業の方々のおかげで、念願だったプロゲーミングチーム「Fudoh(不動」「Kacho-Fugetsu(花鳥風月)」を設立することができました。「Fudoh」は、主に海外をメインストリームとした「ストリートファイターV」公式大会での活動を目指したチームで、先ほどご紹介した育成選手もメンバーとなっています。もう一つの「Kacho-Fugetsu」は、「スプラトゥーン2」(任天堂)というゲームタイトルで活動する女性のゲーミングチームです。
自分たちが11年から16年末まで所属していたアメリカのチーム「Evil Geniuses(イービル・ジーニアス)」、そして17年から現在も所属している「Echo Fox(エコー・フォックス)」では、プロチーム運営についてたくさんのことを学ばせていただいてきたので、それを生かして選手をサポートしていきます。
またそれだけでなく、起業してからのこの2年、いろんな企業の方々と一緒にお仕事をさせてもらったり、お仕事を依頼していただいたりしたことで、かなり勉強させてもらっています。
イベントを開催するにあたり、どのようなフローをどうやって進めるか、どのタイミングで告知すべきか、経験すればするほど想定される問題も多くなり、事前にそれを回避すべく準備できるようになっていきました。ですから、一緒に支えてくれる仲間だけでなく、一緒にお仕事をしてくださるいろいろな企業の皆さんにも支えていただいているなぁと常々思います。
感謝の心を忘れず、今年はこのプロチーム運営と「Tokyo Offline Party」イベントの開催、そして「P2G」イベントの開催を軸に、他にもたくさんやって参りますよ!
これまでご紹介したこと以外にも、17年は「ゲームで国際交流をしよう!」ということで韓国、台湾、フランスのゲーマーたちと交流戦をしました。9月21~24日に幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2017」(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会主催)でも台湾、フランスの選手を呼んで、デジタルカードゲーム「ハースストーン」で対戦を行いました。こうした交流戦は、格闘ゲームで仲良くなった各国のプレーヤー仲間に協力してもらって実現することができました。海外のプレーヤーと交流できる機会は、今後も作りたいですね。
皆がいたからここまで来れた!
私たちの会社「忍ism」が実施しているプロジェクトのあれこれをご紹介しましたが、その中で私が主にやっているのは、これらの事業に関しての各企業とのやりとりや交渉です。企画立案に伴い必要な資料を作ったりもします。もちろん会社の説明資料や、企画の提案資料なんて、起業する以前は作ったことはありませんでした。ですが見よう見まねで作ってとにかくやってみれば、徐々にそれらしいものが作れるようになっていきました。
事務的なところで言えば、会社の経理などを税理士さんに教わりながらやっています。もともと「会社ってどうやって作るの? どうやって運営していくの?」がまったくわからないところからスタートし、少しずつ経験していく中で学び、理解を深めていっています。わからないことだらけでのスタートなので、正直大変なこともかなり多いです。
「税金対策のためにやっているんでしょ?」って言われることもあるのですが、とてもそんな気持ちで会社経営はできないと私は思います。起業してから、情熱がないと乗り越えられないようなことがたくさんありました。具体的にはお話しすることができませんが、理不尽なことや問題ってちょくちょく発生するんですよね。それをいかに乗り越えるか。それは事業に対して情熱がないと、決して乗り越えられないと思います。
なので言われるように、もし税金対策で会社をやっていたとしたら、こんなに毎年いろんなことに挑戦していないでしょうね。リスクのない挑戦なんてないですから。
それに会社は仕事をした分のお給料をくれる他に、健康保険料や厚生年金保険料などの一部も負担してくれていたことを、経理をするようになって初めて気づきました。会社員だった頃は、いろんな保険料が引かれてやだなぁくらいにしか思っていませんでしたけど、会社はそれ以上に社員の各種保険料を支払っていたんだなぁと。経営者となった今は、スタッフへのお給料の支払いを滞りなく行うために毎日必死です。でも、スタッフの皆がいてくれるからこそ頑張れるんですよね。
最近は仕事をしていて“楽しいなぁ~”と感じる瞬間が多いです。