微量のプロゲステロンを放出する器具を子宮内に装着することで、精子が子宮内に入りにくいよう子宮頚管粘液を変化させたり、子宮内膜を薄くしたりすることで、妊娠を妨げる。ミレーナは5年間継続して装着でき、装着している間は避妊効果が持続する。子宮内膜の増殖が抑えられ、月経量が少なくなり、月経痛が改善するため、過多月経・機能性月経困難症の治療目的に使用される。
子宮に対する局所作用のため、全身への副作用はほぼなく、低用量ピルのような血栓症のリスクはない。
装着後1~2カ月は不正出血が持続することがあるが、時間経過とともに改善する。
〈注意点〉
・子宮内に挿入するときや装着後、痛みを感じることもある。痛みの感じ方は個人差が大きい。挿入30分~1時間前に鎮痛薬を服用したり、挿入時に局所麻酔を行ったりする医療機関もある。
・出血、感染、穿孔の有害事象、また自然脱落が起こり得る。
〈費用〉
◆治療目的:月経困難症・過多月経の場合は保険適用。3割負担の場合、挿入時1万円程度。
◆避妊目的:自由診療で、5~8万円程度。
〈入手方法〉
婦人科(産婦人科)を受診し、内診台でIUS挿入を行う。挿入前後に経腟エコーで位置を確認する。IUS挿入後、問題なく装着できているか、定期的(3カ月、6カ月、1年毎など)に婦人科(産婦人科)でチェックを。
不妊手術
他の避妊方法と異なり、不可逆的である。不妊手術を受けた場合、再度妊娠できるように再建することは困難であり必ず元通りになるとは限らない。
非常に高い避妊効果があるが、稀に不妊手術をしても妊娠が起こることがある。
基本的には、男女ともに、母体保護法に則って不妊手術が行われる。手術を受けられる要件(本人及び配偶者の同意が必要など)が定められ、医師には都道府県知事への届出の必要がある。
◆男性:泌尿器科で精管を縛って精子の通り道を塞ぐ手術(精管結紮〈せいかんけっさつ〉。パイプカットとも)を受ける。基本的に局所麻酔、日帰り手術。自由診療で約5~15万円程度。
◆女性:婦人科(産婦人科)で卵管を縛ったり卵管の一部を切除したりして、卵子の通り道を塞ぐ手術(卵管結紮〈らんかんけっさつ〉)を受ける。全身麻酔で数日間の入院が必要。腹腔鏡や小切開手術で行われる。帝王切開のときに行うこともある。自由診療で約5~15万円程度。