性感染症が「性病」と言われていた時代は、いわゆる「遊んでいる」男性の病気というイメージがありました。今でも総数は男性の方が多いですが、梅毒が若い女性の間で流行していることからもわかるように、性別に関係なくかかります。
また、性感染症は「遊んでいる人」だけがかかる病気ではありません。たった1回の性行為でも、あるいは年齢が何歳であっても、相手が病原体保有者であれば感染リスクが生じます。感染源の特定は、パートナーがひとりであれば容易ですが、以前の交際相手を通じての感染リスクもあります。人と人が接触する限り、性感染症は誰でもかかり得る病気であり、これほど人間性豊かな病気はないと私は思っています。
自分が性感染症に感染しているとわかったとき、そのことをパートナーに伝えるには勇気がいるでしょう。しかし、パートナーを性感染症から守るためにも、正直に伝えることが大切です。逆に、パートナーから告白された場合、過去よりもふたりの未来を大切にしたいのならば、大きな心を持って責めることはせず、健康なセックスができることを目標としましょう。
性感染症を正しく理解し、予防の基本を守った安全なセックスをしていれば、過剰に怖がることはありません。大切なのは、不安な行為や感染機会があったとき、「いつ・誰と・どこで・何をし・どんな症状が出たか」を把握しておくことだと、ぜひ心に留めておいてください。