さらに井筒さんは、問題は死亡者が出ることだけではないという。
「戦地での経験からPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し、自殺するようなことも起こる。米軍では多くの帰還兵がPTSDで苦しんでいます。戦闘を行っているわけではない自衛隊でも、イラクやアフガニスタンに派兵された隊員のうち、2014年3月末までに60人近くが自殺しています。こうした実態を踏まえた議論は皆無です。ところがその一方で、今回の自衛隊法の改正には『国外犯処罰規定』が盛り込まれました。海外で命令に反抗した者に刑事罰を科する内容です」
井筒さんは、語気を強めた。「だから俺は、安保法制は自衛隊員虫けら同然法制だと言うのです」。
第3回 井筒高雄 「戦場の現実」(2)へ続く。
自衛隊の「服務の宣誓」
「宣誓 私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います」