私はこれまで、大人に期待をしないように生きてきました。現在、中学3年生で高校受験を控えていますが、一年前の春から学校には通えていません。その原因は、いじめでした。当時、いじめられているということを担任に訴えたのですが何も変わらず、結局、行けなくなってしまいました。そんな時、私の家では7つ上の姉が学校を中退し、奨学金を一括返済しなければならないという状況で空気も重く、とても心が安らぐ場ではありませんでした。私の居場所は学校でも家でもなく、ネットの中になっていきました。
そこで知り合ったのが、25歳の男性でした。その男性は私の話を聞いてくれ、私を否定しなかったのです。その男性だけが、自分を分かってくれていると思い、唯一の心の支えでした。しかしその男性と私は純粋なお友達ではなく、いわゆるセフレ(セックスフレンド)になってしまいました。けれど、体だけでも求められたのが、私はとても嬉しかったのです。私を必要としてくれていることが、ここに私の存在価値があることが幸せでした。
その人が撮影した私の動画が、ネットに載せられていたと知ったのは、14歳になったばかりの時でした。
もちろん今思えば、なんて安易な行動で、なんて危険なことをしていたんだろうと後悔ばかりです。その男性と関係を切ってからも、たびたび男性と肉体関係を持つことがありました。中には家出した時に泊めてくれた人と、なんてこともありました。もし一年前のあの時に、学校も家もこんな状況じゃなければ、もしあの時の私に逃げ場があれば、男性と関係を持つことはなかったのかなと思います。
私がこれまで出会ってきた大人は、確かに話は聞いてくれる、けれどその弱みにつけこむ人ばかりでした。「家にいれないけれど、夜泊まるところがない」と言えば、体目的で泊めてくれる人はいたけれど、無償で泊めてくれる人なんていませんでした。雨が降っていたりという日は、仕方なくついて行きましたが、晴れている日は公衆電話ボックスの中で、日が昇るまで過ごしたこともありました。誰も私みたいな子どもを、助けてくれる大人なんて、いませんでした。手を差しのべてくれる大人も、いませんでした。
一年前から決めてきたことが、私にはあります。それは「私のまわりにいる大人みたいには、絶対ならない」ということです。私は当時、自分から助けてと言えませんでした。今もそれは変わらず、リストカットやオーバードーズ(大量服薬)を繰り返し、精神科に通院しています。
長くなりましたが、私が伝えたかったのは、堕(お)ちて行くのは簡単でもそこから助けてくれる人はいないということ。また堕ちていく原因は、大人にあるということ。そんな私のような子を利用しているのも、大人だということ。私みたいな子には、正しい道に一緒に戻してくれる大人が必要だということです。
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