「2006年10~12月期の実質GDPは142兆円」と実際の数値を示されてもピンとこないので、「前期比+1.3%」と、前の期からの変化率(経済成長率)で発表される。
また、集計のままの「名目」と、物価を考慮して調整した後の「実質」の二つが発表される。通常は、「実質」が重視される。
日本経済を巨大な旅客機に例えれば、GDPはその高度となる。そして、機体がどんな角度で上昇しているのか、あるいは下降しているのか示すのが、経済成長率となるわけだ。
GDPは4半期毎に集計され、1~3月期の数字は4月半ばに1次速報、2カ月後の6月に2次速報が発表される。このため、GDPをQE(quarterly estimates:quick estimates)と呼ぶ専門家もいる。
「前期比+1.3%」と前の3カ月との増減が示されるが、同時に「年率換算+5.5%」という数字も発表される。これは、当該3カ月の状態が1年間続いた場合に、GDPが何%増減するかを示すものだ。
GDPは大きく分けて四つの部門から成り立っている。(1)消費、(2)設備投資、(3)輸出入、(4)政府支出だ。旅客機で言えば四つのエンジンがあり、その出力の増減で高度、つまり景気の良し悪しが決まるというわけだ。
中でも消費がGDPに占める割合は、6割と極めて大きく、その動向が景気を大きく左右することになる。
また、消費と設備投資、政府支出を「内需」、輸出入を「外需」として区別する。「外需」に頼りすぎると貿易摩擦を起こす恐れがあり、「内需」とのバランスの取れた経済成長が望ましいとされる。
政府はGDPを増やすために、様々な経済政策を打ち出す。コックピットに座る機長が、四つのエンジンの出力状況を見ながら、高度を上げようと、操縦桿を操作するというわけだ。GDPは、経済政策を進める上でも最重要データなのだ。
GDPが発表されたら、ぜひチェックして欲しい。どのエンジン(部門)が好調で、出力不足はどのエンジンなのか…。そこには、我々が乗る日本経済という旅客機の飛行状況が、克明に記されているのである。