プレーする場所を国内に求めるのか、海外に求めるのか…。これを経済に置き換えると、「内需」と「外需」になる。
内需の「内」は「国内」、外需の「外」は「国外」、そして「需」は「需要」を意味する。つまり、内需は国内向け、外需は海外向けの経済活動を意味するのである。
一国の経済活動全体を示すGDP(国内総生産)で内需と外需を確認しよう。GDPは「消費」+「設備投資」+「輸出入(輸出-輸入)」+「政府支出」から構成されている。この中で、「消費」と「設備投資」、そして「政府支出」が内需となる。内需はさらに、政府支出を「官需」と、残りを「民需」と呼ぶこともある。内需は国内向けの経済活動、つまり日本のゴルフツアーに相当するのである。
一方、外需となるのが輸出から輸入を差し引いた「純輸出」。台湾の選手が日本のゴルフツアーに参戦したり、日本の選手がアメリカのゴルフツアーに参戦したりするのが外需となるわけだ。
内需と外需のバランスは国によって異なる。アメリカは内需型だ。国内に大きな市場を持ち、これを狙って世界の各国が活発な輸出を展開している。一方で、輸出は相対的に弱く、この結果として大きな貿易赤字が発生している。大きな賞金を得られるアメリカツアーには世界中からプレーヤーが参戦してくる一方、アメリカのプレーヤーが日本などの外国のツアーに参加するのはまれという状況になっているわけだ。
一方、日本は外需型だ。国内市場も大きな規模を持ってはいるが、すでに経済は成熟、さらには少子化なども手伝って、大きな成長が見込めない状況になっている。こうしたことから、日本は海外へ活路を求める外需型にならざるを得ない。トップクラスの選手が、次々に海外のプロゴルフツアーに参戦しているように、多くの企業が世界中の市場に輸出攻勢をかけているというわけだ。
国内市場が未成熟な新興国も、外需に依存する割合が高くなるが、外需頼みには問題も少なくない。輸出が行われると、その分だけ相手国の国内企業が打撃を受け、貿易摩擦に発展する恐れがある。「日本人ばかりが優勝するアメリカゴルフツアーは面白くない。参戦を制限すべきだ」ということにもなりかねない。
また、外需は外国為替相場の動向にも大きく左右される。円高、つまり自国通貨の価値が上がれば、輸出は大きな打撃を受ける。海外のゴルフツアーに参戦していたら、重いハンディキャップを課せられ、苦戦を強いられる恐れもあるのだ。
こうしたことから、日本などの外需型の国は、消費や設備投資などを活性化させる「内需主導型」への転換を図っているが、思うに任せないのが現状だ。
いろいろな国の選手が参加してこそ、ゴルフツアーも面白さを増す。経済も同様だ。内需と外需のバランスを保ちながら、世界の国々が自由に経済活動を展開することが重要なのである。