資産効果とは、株式や不動産などの資産を保有している人が、「いざとなれば、資産を売って現金化すればいい」と思うことで安心し、支出を増やすこと。保有している資産の価格が大きく上昇した場合、安心感は一層広がり、豪華な食事や海外旅行、さらには借金をして高級外車や別荘を購入したりする人も出てくる。
企業の場合も同様だ。豊富な資産を持ち、更にその価値が上昇した場合には、設備投資を増やしたり、事業を拡大したりするなど、より積極的な経営戦略に出ることが可能となる。
資産の価値が上昇すれば、金融機関からの融資も受けやすくなる。金融機関は、個人や企業が保有している資産を担保に融資を行う。その資産の価値が上昇すれば、それだけ多くの融資を実行することが可能となるのである。
資産効果が強く働いたのがバブル経済だった。株式や不動産の価格が高騰、これを担保にした融資が急拡大し、消費や設備投資も急増、日本経済が空前の好景気に沸いたのであった。
しかし、資産効果は資産価格という変動の激しいものに支えられている。したがって、ひとたび資産価格が下落に転じれば、融資は受けにくくなり、場合によっては強引に回収される場合も出てくる。先行きに対する不安も加わって、消費も設備投資も冷え込み、経済は負のスパイラルへと陥ってしまう。これが「資産効果」の反対、「逆資産効果」と呼ばれるものだ。バブル崩壊という資産価格の暴落で、日本経済は未曽有の不況へと突入した。「お宝」と信じていたものが「偽物」と判明、大慌てで節約に努めた結果、景気が極端に悪くなってしまったのだ。
「なんでも鑑定団」で鑑定してもらった「お宝」が本物と判明した出場者は、「一家で海外旅行に行きます!」と大喜びする。反対に頼りにしていた「お宝」が偽物だった場合、「生活費を切り詰めないと…」と、出場者は失望して財布のひもを引き締める。
経済も同じこと。経済の「お宝」である資産は、その「鑑定価格」によって「資産効果」や「逆資産効果」を生み、景気を大きく左右しているのである。