世代間の不公平を生むことから、国債の発行には制限がある。法律上認められているのは、道路や港湾、学校などの公共事業のために発行されるもののみ。財政法第4条によって発行が認められている、いわゆる「建設国債」(4条国債)だ。
「建設国債」の発行が認められているのは、親が国債という借金をして造った橋や学校などは、借金を返す子供の世代も利用できるという考え方に基づいているからだ。「親子2世代ローン」で家を建てた場合、やがてはその家に住めることから、子供も納得出来るだろうというわけだ。
「建設国債」が、子供世代も使えるものを残すのに対して、「赤字国債」は何も残さない。「赤字国債」は、政府の歳入不足を補うために発行されるもので、社会保障費や人件費など、発行された世代で使い切ってしまう支出をまかなう。親が旅行したり、おいしいものを食べたりと、収入以上の支出をして作った借金を、子供が支払うことになるのだ。子供としては納得出来ない。世代間に大きな不公平を生むことから、「赤字国債」は原則発行禁止で、そのつど特別立法を行い、国会の承認を得る必要がある。しかし、現実には発行が恒常化、歯止めなく借金が増えているのだ。
どんな用途に使われようと、親が子供に借金をするのは、望ましいことではない。しかし、子供に借金をしなければ、生活が成り立たないのが日本の現実だ。政府は現在最長の30年国債に加えて、40年という超長期国債の発行も計画している。これでは、「親子2世代ローン」どころか、「親子孫3世代ローン」となってしまう。子供、そして、孫から非難されることのないように、まずは支出を削減、生活態度を徹底的に改めることが、今の政府に求められている。