宝を探し当てるためのヒントとなるのが、古代の文字で書かれた謎の文書。これ読むためには、特殊な文法や単語の知識が必要なのは当然だが、これだけでは十分ではない。文章には「謎かけ」がされていて、これを解いた上で行動しなければならないのだ。
文章を読み、本当の意味を解読し、そして実践する。こうした力はリテラシー(literacy)とよばれている。インディが持っているのは古代文字についてのリテラシーだが、これ以外にもいろいろなリテラシーがある。メディアの真偽を見抜き、正確な情報を取り出して活用する能力であるメディア・リテラシー、コンピューターのメリットとデメリットを踏まえた上で活用する能力であるコンピューター・リテラシーなど、いろいろな分野で使われている。そして、最近しばしば耳にするのが、「金融リテラシー」である。
金融リテラシーは、金融取引に対する知識と理解力、そしてそれを実践する能力を意味する。金融取引には様々な種類がある。最も一般的なものは銀行預金だが、これ以外にも株式や債券への投資、投資信託、外国為替取引などなど…。これらの取引をする場合、まず、それがどんなものであるかを理解することが大前提となる。株式投資とはどんなもので、何株から購入できるのか、お金はどこに振り込めばいいのか、売却する場合にはどうしたらいいのかといった、取引をするための最低条件を理解する必要があるのだ。これが、金融リテラシーの第一歩だ。
しかし、これだけでは不十分だ。株式投資をする場合、どんな銘柄を、どんなタイミングで購入するべきなのか、価格が変動する要因は何で、どんなリスクが存在するのかといった、さらに深い知識を持っていないと、大きな損失を被る場合があるのだ。
また、株式を購入するべきなのか、債券を購入するべきなのか、あるいはリスクを抑えるために銀行預金に限定すべきなのかといった広い視野での投資戦略、いわゆるポートフォリオも描く必要がある。こうした知識とこれを実践する能力すべてが金融リテラシーであり、これが利益に直結することになるのだ。
もちろん、不安であれば銀行預金や、場合によっては自宅に現金をしまっておく「タンス預金」にする方法もある。しかし、これは「家から出ないインディ」のようなもの。危険も小さいが、「宝」という大きな利益を得ることは望めない。頭をフル回転させて「謎の文書」を読み解き、果敢にそれを追い求める「冒険心」がなければ、利益という「宝」は手に入らないのである。
第3作のクライマックス、「悔い改めて通れ」というメッセージがインディに突きつけられる。先に進んだ者は、次々に首をはねられていたが、インディはメッセージの本当の意味を理解、見事に罠を突破したのであった。
日本ではこれまで、銀行預金に頼る「家から出ないインディ」が大多数を占めていたが、近年は様々な金融商品に投資する、冒険心にあふれた人々も増え始めている。しかし、日々進化している金融の世界について行けずに大けがをする「知識不足のインディ」も少なくない。「金融リテラシー」をしっかりと身につけ、利益という「宝」に近づくことが求められているのである。