6月12日に開幕したサッカーワールドカップ。世界的な祭典となったこの大会のこれまでの歴史を第1回大会から遡り解説。
出場参加国・地域の変遷、得点王や大会記録の情報、各大会に起こった出来事をピックアップしながら振り返る。
今回は日本がワールドカップに初出場した第16回フランス大会から、第22回のカタール大会まで。
(ワールドカップの名称は、正式には第3回大会までは「ワールドカップ」または「世界選手権」、第4回から第9回までは「ジュール・リメ杯世界選手権」、第10回から現在の「FIFAワールドカップ」。日付はすべて現地時間)
第16回: 1998年フランス大会(開催期間1998年6月10日~7月12日)
出場国・地域:32
予選参加国・地域:172 出場枠 欧州14(+開催国フランス)、南米4(+前回優勝国ブラジル)、北中米カリブ3、アジア3.5、アフリカ5、オセアニア0.5
欧州: イタリア、イングランド、オーストリア、オランダ、クロアチア、スコットランド、スペイン、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フランス、ブルガリア、ベルギー、ユーゴスラビア、ルーマニア
南米: アルゼンチン、コロンビア、チリ、パラグアイ、ブラジル
北中米カリブ:アメリカ、ジャマイカ、メキシコ
アジア:イラン、 韓国、サウジアラビア、日本
アフリカ: カメルーン、チュニジア、ナイジェリア、南アフリカ、モロッコ
優勝国:フランス
得点王:ダボール・シューケル(クロアチア) 6得点
優秀選手:ロナウド(ブラジル)、シューケル(クロアチア)、リリアン・テュラム(フランス)、優秀GKファビアン・バルテズ(フランス)
決勝:1998年7月12日(サン・ドニ)フランス3-0ブラジル
グループリーグ表(勝ち点:勝ち3、分け1、負け0。各グループ1位と2位が決勝トーナメント進出)

決勝トーナメント

*第16回の開催地はフランス。1938年の第3回大会以来60年ぶり2度目の開催である。今大会から出場国が24から32チームに増え試合数も64試合と史上最大に。この拡大の恩恵もあり、日本も初出場を果たした記念すべき大会になった。
大会方式はグループリーグ上位2チームが決勝トーナメントに進出、決勝トーナメントでは延長になった場合は先に1点を獲ったほうが勝ちというゴールデンゴール方式が初めて取られた。
*初出場の日本はアルゼンチン、クロアチア、ジャマイカに3戦全敗。世界の高い壁に阻まれた。

アルゼンチンのシメオネと対峙する中山雅史。中山は3戦目のジャマイカ戦で日本初ゴールを決める(写真ロイター/アフロ)
*日本国内でもワールドカップがオリンピックをも超える世界的大会という認識が生まれた大会になった。そんなワールドカップの盛り上がりが過熱するなかで、ひとつの騒動が起こる。大手旅行代理店が確保していたはずのチケットが闇ブローカーによる「空売り」であることが発覚したのだ。チケットを巡る騒動も含めて日本にとってはほろ苦い「ワールドカップ初体験」であった。
*優勝は開催国のフランス。初優勝で、史上7か国目の優勝国が誕生した。ブラジルの「怪物」ロナウドの大会となるとの予想通り、準決勝まで4得点の活躍。しかし、フランスとの決勝戦直前にコンディション不良に見舞われ決勝では精彩を欠いた。その一方で、この決勝戦で強烈な存在感を示したのがフランスのジネディーヌ・ジダン。ジダンの2ゴールを含む3得点での勝利で優勝が決定した。ジダンはプラティニを超えた新しい「将軍」として世界のスーパースターになった。

ワールドカップを掲げるジダン。フランス国内では凱旋門広場に100万人とも言われる人が集まりお祭り騒ぎになった(写真:Mary Evans Picture Library/アフロ)
*波乱の試合は決勝トーナメントのアルゼンチンとイングランド。1982年のフォークランド粉争の因縁がある両国の試合はスリリングな名勝負となる。前半、両チームそれぞれがPKを決め1対1。後半すぐにイングランドが18歳のマイケル・オーウェンのスーパーゴールで勝ち越し。しかし、アルゼンチンもサネッティのゴールで再び追いつく。だが、後半開始直後、イングランドのベッカムがシメオネのファウルに報復行為をしてしまい一発退場。その後、イングランドは数的不利になりながら、何とかPK戦まで持ちこたえる。しかし、PKでアルゼンチンの勝利となった。

レッドカードを受けるベッカム(7番)。試合翌日のイングランド紙は、10人の「英雄」と1人の「愚か者」とベッカムを糾弾した(写真:アフロ)
*今大会で快進撃を見せたのはクロアチア。得点王に輝いたシューケルをはじめ、ボバン、アサノビッチ、スタニッチなど世界のビッグクラブで活躍する選手がそろいワールドカップ初出場で3位となった。

クロアチアのシューケル(左)とボバン(右)。初出場で3位という好成績をおさめ、こののちワールドカップ強豪国のひとつになる(写真:Press Association/アフロ)