そもそも、ヒト・モノ・カネとは、よくいったものです。この順序は正しい順序だと思います。
なぜなら、3大主役の中で、元来、最も大スターなのが、ヒトであるはずです。何しろ、経済活動は人間の営みです。人間ドラマなのです。ですから、当然、最大の主役を張るのは、ヒトであってしかるべきところです。ヒトがつくり出すモノがそれに続く。そして、ヒトのモノづくりを助けるためのカネが最後に控える。これが正しい順序なのだと思います。
ところが、現実には、少々事情が違います。
グローバルな経済社会において、最も出しゃばっているのは、どうもカネです。カネが一番大きな顔をしている。それにモノが続いて、ヒトは最も後回し。現実には、このような関係になっている。どうも、そう言わざるを得ないと思います。
そもそも、こうなってしまっているところに、大きな今日的問題があるといえるでしょう。ですが、それはそれとして、現実に即してみれば、2014年の展望も、カネから始まることとならざるを得ないでしょう。
2014年におけるカネの世界には、どうも大きな異変がありそうです。
アメリカの量的緩和が終焉に向かう中で、カネの流れが激変するかもしれない。この読みで、世界の金融市場が揺れ始めています。投資資金の流入先細りを恐れて、新興諸国が資本流入規制を緩める態勢に入っています。
つい先頃まで、彼らはカネの流れ込み過ぎに手を焼いていました。大量の外資が経済のバブル化をあおるからです。ただ、そんな悩みのタネではあっても、やはり、このカネの洪水こそ、実は、彼らの成長力の源泉だったのです。それが途絶えると、彼らは一気に苦しくなります。
モノの世界はどうでしょうか。
これも異変含みです。IMF(国際通貨基金)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事が、年明け早々に世界的なデフレ深化の懸念を表明しました。日本では、デフレ脱却間近であるかの言い方も聞こえます。
ですが、それはとんでもない勘違いかもしれないのです。
こんな中、ヒトの世界は、どうもひときわ寒さが身に染みることになります。
回復の兆しありといわれるアメリカ経済においても、残る問題はヒトの問題です。生産が伸びても、どうしても、それに見合っては雇用が伸びません。そして、地球経済の津々浦々で、賃金が上がらない状況が続いています。
ヒトが地球経済をリードする時は、果たして、やってくるのでしょうか。
さもなければ、2014年も、そしてその先もまた、なかなか明るい展望は開けるはずはありません。ヒトの復権なるか。ヒトのモノづくりをカネがアシストする。この関係は復活するのでしょうか。
ここが2014年のグローバル経済の勘所です。そして、グローバル経済の存立の要です。注目していきたいと思います。