ラクダは頑丈な生き物ですよね。重い物を運ぶのが大得意です。いくら積み荷を重くしても、ラクダさんはへいちゃら。長距離輸送も、淡々とこなしてしまいます。いつでもどこでも、ラクダは楽だ。そういう顔でぶらぶらと、どこにでも歩いていってしまう。その姿がなかなかすごい。
でも、そんなお気楽なラクダさんにも、限界はあるのです。これ以上の重荷は無理。ラクダさんにも、やっぱり、いつかはそのようなタイミングが到来します。もうこれでいっぱいいっぱい。そんな極限状態まで来てしまったラクダさんの背中に、麦わらを1本載せると、そこでラクダは一気に楽ではなくなるのです。
ほとんど重量など無い麦わら1本でも、崩壊点に達したラクダの背中には、とどめの一発となってしまう。そういうことです。
知らぬ間に極限状態に達している。そこで何かが起こると、それが、ラクダの背中を砕く麦わら1本の役割を果たす。世の中には、そういうことが結構あります。あの時のあれ。あれがつまり、ラクダの背中の麦わら1本だったんだなぁ。こんな感じで、「ラクダの背中の麦わら1本」という言い方が使われます。
つまりは、一触即発の状態下で、大事件の引き金となる現象。それが、ラクダの背中の麦わら1本です。例えばバブル崩壊。あるいは戦争勃発。はたまた革命発生。そして金融恐慌。
いずれの場合にも、必ずラクダの背中の麦わら1本があるのです。
ところで、このところ、ロシア経済が大混迷に陥っていますよね。
ルーブルの下落が止まりません。いくら金利を上げても、ロシアからカネが逃げていってしまうのです。世界の資本がロシアを見放した。そんな具合になっています。こんな状況に陥ろうとは、ついこの間まで、誰も考えてはいなかったでしょう。
これこそ、ラクダの背中の麦わら1本の怖いところです。ロシアの場合、原油価格の下落が麦わら1本の役割を果たしました。ウクライナに手を伸ばしたり、がむしゃらな成長戦略を展開したり。不死身かに見えていた筋肉マンのプーチンさんも、実を言えば積み荷が相当過大になっていたのです。そこに原油暴落の麦わら1本が降ってきたわけです。
立ち直るのは容易ではないでしょう。これからが大変です。
ラクダにも楽あれば苦あり。プーチンさんも、きっと今、それが身に染みていることでしょう。