第一に、日本の財政再建は、全くもって待った無しの大問題となっています。第二に、この質問の中には重大な誤りがあるのです。
第二点について言うと、実は日本政府の歳出規模は、常にその歳入の範囲内に収まっています。予算をみても決算をみても、歳入と歳出の金額は常に一致しています。それでは、日本の財政収支は、この間、ずっと均衡状態にあったということなのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。問題は、歳入の内訳です。
一国政府の歳入は、税収と公債金に大別されます。公債金とは、要するに借金です。日本の問題は、歳入の中で借金が占める割合がとんでもなく大きいのです。
財政収支がどうなっているかを考える時、我々は国の歳入と歳出を比べてはいけません。比べるべきなのは、あくまでも国の税収と歳出です。ここを混同しないようにすることが必要です。そもそも、歳出が税収の範囲内にとどまっているのであれば、借金は発生しないわけです。
ところが、日本国政府の歳出は、その税収の範囲をはるかに超えているのです。そのため、一時は、何と、歳入の中で借金の方が税収を上回っていました。
給料では生活費が賄えない。毎月毎月、借金を重ねて、生活を維持している。そんな地獄のサラリーマンライフをイメージすれば、それが日本国政府の姿です。
問題は、いつまでこの借金依存型人生を続けられるか、ということです。それに「ノー」を突き付けられると、ギリシャと同じ道をたどることになってしまいます。
歳入に占める借金の割合は、要するに、一国政府が世間に甘えている度合いを示しています。甘えるのもいい加減にしろ。そう言われてしまえば、万事休すとなってしまいます。
ところで、ここにきて、日本政府の税収は増えているようにみえます。特に法人税収が増えています。ですが、これは、専ら株高と円安がもたらした一過性の効果です。思わぬタナボタで、一時的に給料が少し増えたに過ぎません。
財布は、膨らんでいればいいというものではありません。財布も、問題は中身です。借金やタナボタでいくら膨らんでいても、そんな財布は、いつほころびて、破れてしまうかわかりません。