日本のGDPつまり国内総生産が、直近の2014年度で489.6兆円でした。上記の数字は、いずれもこのGDP規模の5割を超えている。つまり、相当に大きな数値です。さて、これは一体何でしょう。
実を言えば、これらの数字は、金融機関の日本国債保有残高なのです。15年9月末時点の数字です。前者が日本銀行の保有分、後者が民間金融機関の分です。日銀に関する数字は、国債発行残高全体の3割を占めるに至っています。これは、中央銀行の自国国債保有比率としては、突出して高い割合です。ちなみに、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)のアメリカ国債保有比率は全体の2割弱にとどまっています。
注目点はまだあります。ご覧の通り、日銀の国債保有残高は、民間金融機関の数値を上回っていますね。つまり、いまや、日本国債に関する最大の保有者は日銀なのです。しかも、現在、日銀が展開している「量的・質的金融緩和」政策の下では、日銀の長期国債保有残高を年間80兆円ずつ増やしていくことが目標になっています。このペースが続けば、日銀の国債保有残高はあっという間にGDPの規模を超えてしまうことになるでしょう。
日本経済の規模を上回るスケールで、日本銀行が日本国債を保有する。そして、最大の国債保有者としての位置付けを、ますます確立していくことになる。どうみても、これは異様な姿ですよね。日本国の財政は、明らかに既に破綻(はたん)状態にあるのです。そのことを、これほど明確に示してくれるデータはないでしょう。
日銀が助け舟を出してくれていなければ、日本国政府は、とっくに溺死(できし)しているところです。しかも、この助け舟の大きさが並大抵のものではありません。舟という感じではないですよね。どちらかといえば、大型艦船という方がイメージがぴったりきます。
もしも、日銀がお助け艦船大作戦をやめてしまったら、どうなるでしょうか。答えは、言うまでもありません。国債相場は大暴落します。日本の財政は、たちどころに行き詰まることになります。
そうなっては大変です。ですから、結局のところ、日銀は「量的・質的金融緩和」を決してやめるわけにはいきません。黒田東彦総裁は、自ら掲げた2%の物価上昇目標が、永遠に達成されないことを祈るしかありません。目標達成の可能性が遠のけば遠のくほど、ほっと胸をなでおろしているのでしょうか。こんなに変な話もありませんよね。しかしながら、これが今の実態です。何とも怖い話です。