「毒と薬は紙一重」といわれるが、私たちの周りには多くの有毒な生物が存在する。花壇を彩るかれんな花にも毒を有するものがある。しかし人間はその毒の中から有効成分を抽出して、特定の病気の治療に用いている。まさに「毒をもって毒を制す」である。(「イミダス1998年版」掲載)
ドクツルタケ
夏~秋の頃、広葉樹林内に発生するキノコ。純白の大型キノコで傘の径は8~15cm、高さ8~25cm。柄の上部には下向きにつばがあり、根元には袋状のつぼがあるのが特徴。猛毒をもつキノコのテングタケの一種で、誤食すると腹痛、嘔吐、下痢とコレラに似た症状が起こり、やがてけいれんから昏睡状態に陥り、死に至る場合もある。
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ドクニンジン
セリ科の大型の多年草。ヨーロッパ原産で日本にも帰化している。全体にコニインやメチルコニイン、コニセインなどの毒性の強いアルカロイドを含み、これが中枢神経および運動神経末梢を麻痺させ、嘔吐・呼吸障害を起こし、呼吸麻痺によって死に至る。コニインの致死量は15mg。古代ギリシアのソクラテスの毒殺に使われたことで有名。
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トリカブト
キンポウゲ科の多年生草木。中国原産で、園芸用として栽培されているほか、各地に野生化し、日本には約30種がある。全体にアコニチンという強い神経毒があり、特に花、種子、球根に多く含まれる。胃の粘膜から吸収され、大脳や脊髄の運動中枢を麻痺させ、呼吸困難によって窒息死する。昔、アイヌが矢毒として利用していた。
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ニチニチソウ
キョウチクトウ科の一年草。西インド原産で、園芸用として各地で栽培され、1日ごとに花を咲かせる。ビンクリスチンなどの10種類のアルカロイドが全体に含まれ、誤食すると全身に麻痺症状を起こす。細胞分裂を阻害する作用があり、副作用の少ない制がん剤として急性白血病、悪性リンパ腫、小児腫瘍、絨毛性腫瘍に使われる。
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