経済グローバル化の中で、広域に流通させるため均質化され失われていった、野菜を見直す動きが出ている。気候風土に根ざし改良されてきた伝統野菜等のうち特色のあるものを取り上げる。(「イミダス2002年版」掲載。資料:良い食材を伝える会編「日本の地域食材’00」)
賀茂なす
京都市上賀茂地区ほか産。1300年ほど前から栽培されている、ふっくらとした紫の濃い大型の丸なすで、ずっしりと重い(1個250~300g)。ビタミンCを多く含み皮が柔らかく肉質が緻密で、煮炊きしても形が崩れない。収穫期は5月中旬~9月下旬で田楽・素揚げなどに調理され、京都の夏野菜として親しまれている。
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鹿ケ谷(ししがたに)かぼちゃ
京都府綾部市産。大文字山のふもと、鹿ケ谷地区で150年前から栽培されてきたひょうたん形のかぼちゃ。東北より伝わった菊かぼちゃが突然変異してこの形になったという。一時市場から姿を消したが、鹿ケ谷の安楽寺で毎年7月にかぼちゃ供養が行われ、絶滅が避けられた。近年は綾部市が主な生産地。
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京都大納言小豆(だいなごんあずき)
京都府丹波、丹後地域産。武士は腹を切ることもあるが、大納言は高貴な方なので切腹をしない。煮ても皮切れしない小豆を大納言にたとえて名づけられた。粒が大きくて色つやが良く、香りが高い。10月中旬に収穫。粒あんとして京菓子の素材などに使われる。
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堀川ごぼう
京都府京都市、舞鶴市ほか産。長さ60cm前後、直径6~9cm、重さ1kg程度の大型ごぼう。先端が枝分かれし、松の根のような外見だが、香りが高く柔らかい。中に空洞があり鶏肉やエビを詰めて煮込み、京都の正月料理とする。豊臣家の滅亡後、ごみで埋め立てられた聚楽第(じゅらくだい)の堀で栽培が始まったため「聚楽第ごぼう」の名もある。