経済グローバル化の中で、広域に流通させるため均質化され失われていった、野菜を見直す動きが出ている。気候風土に根ざし改良されてきた伝統野菜等のうち特色のあるものを取り上げる。(「イミダス2002年版」掲載。資料:良い食材を伝える会編「日本の地域食材’00」)
銀寄(ぎんよせ)
大阪府能勢町ほか産。大果で風味、光沢の良い高品質の栗。原産地は能勢町歌垣で、約200年前のききんの年にこの地方の栗を丹波に出荷し、多くの銀札(当時のお金)を寄せることができたのでこの名がついた。ゆでると果肉が粉質でおいしい。
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丹波黒(たんばぐろ)
兵庫県篠山市ほか産。黒大豆(黒豆)の一品種で、古くから丹波地方で栽培されていた在来種「波部黒」の中から県農事試験場が奨励品として命名した。大型で12月上旬に成熟する極晩成種。大粒で煮えやすく、長時間煮ても皮がはがれることがなく、正月料理をはじめ広く使われている。地域特産品として全国に広まった。
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南高梅(なんこううめ)
和歌山県田辺市、南部町ほか産。粒が大きく、肉厚で果皮が薄い、和歌山の梅の代表的ブランド。この名は品種の選定にかかわった南部(みなべ)高校と選定された品種「高田梅」に由来する。生梅の収穫時期は6月。青梅は梅ジュースや梅酒に、成熟した梅は「紀州梅干し」に加工して全国に出荷する。
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黄にら
岡山市ほか産。「にらもやし」ともよばれ、旭川下流の砂壌土地帯で明治時代から栽培されている。青にらを収穫した株を黒寒冷紗で覆い、太陽光を遮断して軟化栽培する。食感は柔らかく、ほのかに甘く、香りは淡く上品。ビタミン類が多く含まれる。収穫量が少ないため高級食材として流通しているが、鍋物など用途は幅広い。