経済グローバル化の中で、広域に流通させるため均質化され失われていった、野菜を見直す動きが出ている。気候風土に根ざし改良されてきた伝統野菜等のうち特色のあるものを取り上げる。(「イミダス2002年版」掲載。資料:良い食材を伝える会編「日本の地域食材’00」)
広島菜
広島市安佐南区川内地区ほか産。野沢菜・高菜と並ぶ日本三大菜の一つ。京菜の一種から改良され、1933年に広島県がこの名をつけた。根元から葉先まで濃緑色で長さは30cmほど。肉厚だが、歯切れがよい。漬物にすると大変美味で、カルシウムやカロチンが多く白菜漬けよりも栄養面で優れている。
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岩国れんこん
山口県岩国市産。栽培の歴史は200年以上と古い。現在の品種は中国原産。清流錦川の水、有機質主体の土により、肉厚でシャキシャキした歯ざわりと腰のある粘りができる。10~11月が旬で収穫は2月頃まで続き、正月料理にも使われる。岩国れんこんには穴が九つあり(普通八つ)、旧藩主吉川家の九曜紋と同じで珍重された。
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なると金時
徳島県鳴門市ほか産。鳴門の良質な銀砂に育つ糖度の高いさつまいも。外皮は鮮やかな紅赤色でなめらか、中肉は黄色い。形は紡錘形で粉質である。高系14号を系統選抜して1978年に開発された。砂地での栽培に適し、従来からの砂地と、砂を客土し造成した砂地畑で作られる。寒さに弱いため15℃前後の室温で保存すると良い。
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金時(きんとき)人参
香川県坂出市、観音寺市産。表面も中も真っ赤なにんじんで、京料理によく利用される。「坂田の金時」のように赤いので、この名がついた。ビタミン・ミネラルが豊富でリコピンも含まれており、がん予防に効果があるという。香川県では正月のあん餅雑煮に縁起を込めて、赤い金時にんじんと白い大根の薄切りを入れる。