競輪場へ着くと、古賀シュウがモノマネライブをしていた。
これがたまらなく面白く、ゲラゲラ涙を流して笑った。芸を持つということの尊さよ。
決勝までいくつかレースを買い、どれも不発に終わった。そして決勝。地元九州出身、北津留への声援が凄い。
レースはやはり深谷が逃げた。2番手の松井に絶好のチャンス。しかしゴール寸前でかわしたのは眞杉だった。ラインがなく単騎の戦いだったが、それが逆にリラックスできて良かったのだろう。眞杉は夏のオールスターで初のG1タイトル、そして競輪祭と今年大ブレイクを果たした。松井は悔しそうだったが、もっと悔しい思いをしたのは深谷だろう。身を挺して松井を勝たせるために駆けたが、松井が差されてしまった。しかしこの時の深谷の迫力、眞杉の冷静な判断力とスピードは強く印象に残った。
1ヶ月後のグランプリでこの2人は必ず上位に食い込む走りをするはずだ。
優勝者表彰式で銀テープがバーンと舞った。
車券は外したが、勝負の清さを見せてもらった気がした。勝負は時に美しい。
興奮したまま、夜の繁華街へと向かった。
もう、冬が始まっていた。
