中国を中心に広く親しまれているスープ料理。春雨や野菜、肉、練り物など好みの具材を、辛味と痺れを効かせたスープで煮込む。発祥は四川省とされ、「麻(マー)」は花椒によるビリビリとした痺れ、「辣(ラー)」は唐辛子の辛味を指す。花椒と唐辛子を軸に、多種多様な薬膳スパイスを組み合わせるのが特徴で、同じ麻辣湯でも店ごとに味わいは大きく異なる。現在では中国全土のみならず世界各地に広がっている。
日本では2007年、東京・渋谷に創業した「七宝(チーパオ)麻辣湯」が火付け役となり、徐々に浸透した。同店は約5年かけて基盤を固め、薬膳効果を打ち出したスパイス設計、麺や辛さを選べるカスタマイズ性、バイキング形式による豊富なトッピングを武器に、女性比率の高い顧客層を獲得。専門店モデルの礎を築いた。その後、都市部を中心に専門店の出店が相次ぎ、若年層・女性を中心に支持を拡大している。
ブームを決定づけたのが2025年前後の評価である。「小学館DIMEトレンド大賞2025」のグルメ・フード部門賞を「七宝麻辣湯」が受賞し、さらにクックパッド「食トレンド大賞2025」では創業者の石神秀幸氏が麻辣湯を日本に広めた功績で「今年の顔」に選出された。社会的評価を受けたことで、麻辣湯は一過性の流行を超えた存在へと押し上げられた。
発汗を促す刺激と、野菜を中心に構成できるヘルシーさ、そして自分仕様に組み立てる楽しさ。これらが現代の食志向と合致し、日本の都市生活に溶け込む新たな日常食として定着しつつある。