月経周期は、卵胞が卵巣の中で排卵に向けて発育・成熟していく「卵胞期」、卵子が卵巣から放出される「排卵期」、卵子が放出された後の「黄体(おうたい)期」の3つに分けられ、月経が始まった日(月経周期第1日目)は「卵胞期」の第1日目でもある。月経がある間は毎月このサイクルが繰り返されるが、月経周期は環境の変化やストレスなどにより不規則になりがちである。
作成/イミダス編集部
「排卵の有無や周期のリズムなどを把握するために、婦人科では初診のときに過去3カ月の月経のデータを教えてもらうようにしています。毎回の診察に必要ということではありませんが、自分の月経周期のパターンを知っていれば何か変化があったときにも気づきやすくなりますので、一度は記録してみるといいでしょう」(西先生)
〈月経が起こる仕組み〉
複数のホルモンが「卵胞期」「排卵期」「黄体期」それぞれで複雑に作用し合い、妊娠の準備を進めていく。妊娠しなかった場合に、月経が起こる。
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・卵胞期
脳の視床下部から分泌された性腺刺激ホルモン放出ホルモン(ゴナドトロピン:GnRH)が脳下垂体を刺激し、卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌される。FSHは卵巣を刺激して卵胞を成長させる性腺刺激ホルモンで、このはたらきによって、左右の卵巣それぞれの原始卵胞のうち40〜50個の卵胞が「発育卵胞」となって育っていく。発育卵胞が直径8ミリメートルぐらいに成長すると、発育卵胞からエストロゲン(卵胞ホルモン。2種ある女性ホルモンのひとつ)が分泌される。エストロゲン量の増加により子宮内膜が増殖して厚みを増し、受精卵着床の準備をする。
発育卵胞のうちのひとつだけが「主席卵胞」となり、残りの発育卵胞は卵巣内で分解されて消滅する。主席卵胞が十分に成熟して直径15ミリメートル程度になると、エストロゲン分泌量がさらに増え、それによりFSHの分泌が抑えられるとともに脳下垂体からもうひとつのGnRHである黄体化ホルモン(LH)が分泌されるよう促す。FSH とLHの刺激により、主席卵胞は直径20ミリメートルぐらいまで成熟する。
卵胞が成長を始めて排卵にいたるまでの期間は12〜14日。卵胞期後半から排卵日が近づくにつれ、子宮頸部から分泌されるおりものの量が増えていく。
・排卵期
主席卵胞が排卵できるまでに成熟し、エストロゲンの分泌量が十分になると、LHの濃度が急激に高まる(LHサージ)。その刺激により、主席卵胞は卵巣の表面にこぶのように突出し、卵胞は砕けて卵胞の中にある卵子が放出される(排卵)。排卵時に卵子を放出した卵巣で痛みを感じることもある(排卵痛)。左右ふたつの卵巣のうち、排卵はどちらか片側から起こるが、特に決まった順番はなく、左の卵巣ばかり続く人もいれば、左、右、右などと不規則な人など個人差がある。
LHサージが起きてから排卵までの期間は34~40時間。排卵後、受精可能な期間は長くて24時間程度。
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・黄体期
卵子が飛び出した後の卵胞の抜け殻は「黄体」と呼ばれる組織となり、ここからプロゲステロン(黄体ホルモン。2種ある女性ホルモンのひとつ)が分泌される。