男性の外性器は日常的に自分で見たり触ったりするところですから、なんらかの異常が出たときに気づきやすいと言えます。これまで述べてきた病気のほかに、自分で気が付くことが多いものに精索静脈瘤があります。精索静脈瘤は、男性の15%に見つかるとされており、90%以上が左側に発生します。進行すると精巣周囲の静脈が拡張し、陰嚢皮膚がボコボコと腫れて見えます。男性不妊の原因の3~4割は精索静脈瘤が関係しているため、将来子どもが欲しい男性や妊活中の男性は、このような症状に気づいたら、早めに男性不妊の検査を受けることが大切です。
精巣は陰茎ほど見たり触ったりしないかもしれませんが、若いときから時々触る習慣をつけ、チェックすることをお勧めします。思春期以降は身体の成長と精巣の発達が連動するので、ときどき指でオーケー(OK)サインを作って、自分の精巣のサイズと比べて、OKサインより精巣が大きければOKです。OKサインよりかなり小さい、OKサインより2倍以上大きい、右と左で極端に大きさが違う場合は要注意です。また、中に硬いものがある、しこりがあるなど、触った感覚も確認しましょう。すぐに治療すれば治るものも多いので、恥ずかしがらずに泌尿器科に相談してほしいと思います。
また、精液にうっすらと血が混じる「血(けつ)精液症」は珍しいものではありません。一般に射精の機会が多い若い世代に多くみられ、7~8割は調べても原因や場所が特定できません。おそらく精液の通り道である精嚢(せいのう)腺や前立腺、尿道の粘膜が炎症などを起こして、出血していると考えられます。一度で終わらず、茶色い血が混じった古い精液が数回出てくることもありますが、数日~数週間で改善することがほとんどです。がんなどの病気の症状ということはほとんどありませんから、あまり心配しないでください。ただ、症状が長期にわたったり、何度も繰り返したり、痛みなど他の症状が出てきたりしたら、泌尿器科を受診してください。
【性知識イミダス:男性特有の病気~男性生殖器が関わる泌尿器科系疾患について知ろう(基礎知識編)】につづく