そこに、いまだに世界が抱き続けるセルビアへヘイトを目の当たりにする思いである。メディアの上で何の背景も文脈も説明されないままに「親セルビア」というワードが批難の根拠に用いられること自体、極めて危険な差別煽動だ。
私自身、1998年に現地に入るまでは、セルビアは一方的な加害者という単純な図式でしか見ていなかった。だからこそ、これは伝え続けていきたい。
「スレブレニツァの虐殺」
1995年、セルビア人共和国軍がボスニア東部の都市スレブレニツァを陥落させた後、都市に残っていた民間人男性7000~8000人を虐殺した。虐殺を指示したと言われるラトコ・ムラジッチは2017年にICTYにより終身刑の判決を下された。事件については立教大学教授、難民を助ける会理事長の長有紀枝氏による著作『スレブレニツア あるジェノサイドをめぐる考察』に詳しい。
ボスニア紛争
ユーゴスラビア紛争の一つ。1992年、ユーゴスラビアからのボスニア・ヘルツェゴビナ共和国の独立をアメリカなどが承認したことから、ボスニアとユーゴスラビアの軍事衝突につながった。95年にデイトン合意によって終結。
「1968年世代」
西側諸国において、1968年から広がった学生運動の中心を担った世代のこと。
(1)
2019年10月12日付「CNN」(https://www.cnn.co.jp/world/35143896.html)
(2)
1999年8月11日付「World Socialist Web Site」(https://www.wsws.org/en/articles/1999/08/hand-a11.html)
(3)
2019年10月14日付「ORF」(https://orf.at/stories/3140837/)
(4)
2019年10月17日付「REUTERS」(https://www.reuters.com/article/us-nobel-prize-literature-academy/swedish-academy-defends-choice-for-2019-nobel-literature-prize-idUSKBN1WW1LC)
(5)
2019年11月20日付「ZEIT ONLINE」(https://www.zeit.de/2019/48/peter-handke-literaturnobelpreis-kritik-serbien-interview)
(6)
2019年10月16日付「朝日新聞デジタル」(https://www.asahi.com/articles/photo/AS20191016001940.html)