この歌は「徳川埋蔵金」の場所を示す暗号だという説があり、歌詞を独自に解釈して埋蔵金を探した人もいたというが、もちろん発見はされていない。
しかし、埋蔵金についての伝説は他にも数多く存在し、様々な人々がそのありかを探ってきた。埋蔵金を探している人たちの中には、政治家もいる。埋められているのは霞が関だ。
霞が関に埋められている「埋蔵金」とは、国の「特別会計」に積み立てられてきた「余剰金」を示している。
特別会計とは、通常の予算(一般会計)とは別に設けられた予算のことで、目的が明確に定められているもの。大きく分けると、年金や空港整備など特定の目的を持った「事業特別会計」、特定の資金を運用する「資金運用特別会計」、電源開発促進対策などが含まれる「その他」の三つがある。国の予算を、学校で徴収されるクラス運営費にたとえれば、一般会計は何にでも使える「学級費」、特別会計は「修学旅行の積立金」というわけだ。
一般会計はその年度に使い切ることが原則だが、特別会計は繰り越しができる。このため、資金に余裕がある特別会計では、毎年積立金が増え、大きな余剰金を持っているものもあるのだ。
2008年度の国の決算によると、特別会計の剰余金は28兆5413億円。その内訳は、国債整理基金特別会計が16兆4674億円で最大、外国為替資金特別会計が3兆3761億円、財政投融資特別会計が2兆3770億円などとなっている。この余剰金が埋蔵金というわけだ。
従来は注目されることのなかった特別会計の余剰金だが、近年は発掘作業がブームとなっている。深刻な財政難で「学級費」が不足してしまい、「修学旅行の積立金」の一部を転用できないかというわけだ。「使う予定のない余剰金を持っている特別会計はないか…」と始まったのが、霞が関での埋蔵金探しだったのである。
政府は当初、埋蔵金を使うことに否定的だった。「修学旅行の積立金」を「学級費」として使ってしまえば、修学旅行へ行けなくなる恐れも出てくるからだ。しかし、ひとたび発見されてしまった以上、埋蔵金は使われる運命となった。
2009年度の当初予算では、埋蔵金の一つだった財政投融資特別会計の積立金から4兆2000億円が使われ、続く09年度の補正予算でさらに3兆1000億円が使われた結果、積立金はほぼ枯渇してしまった。民主党も埋蔵金の活用に積極的な姿勢で、10兆円を超える額を使うとしている。こうしたペースで使えば、早々に掘りつくされてしまうことは確実だ。
徳川埋蔵金に比べると、いとも簡単に見つけられてしまった霞が関の埋蔵金。しかし、本当に使っていいものなのか?埋蔵金の中には、安易に使うことで、本当に必要なときに困ってしまうものも含まれているのだ。
重要なのは抜本的な財政改革。埋蔵金の発掘にばかり力を注いでいる政治家の姿勢には、強い疑問が投げかけられているのである。