年収が多くても、貯金はゼロで借金を抱えている場合もある。反対に、年収が少なくても、親から譲り受けた不動産を保有していたり、貯金などの資産をたくさん持っている人もあるだろう。経済力を判断するには、年収だけではなく、資産や借金などの情報が不可欠なのだ。
企業の場合も同様であり、家計簿である決算報告書には双方が記されている。年収などが記されているのが「損益計算書」、そして、資産や借金の状況を示すのが「貸借対照表」だ。英語の「バランスシート」という呼び名も一般に広がっていて、損益計算書のP/Lに対して、B/Sという略語で示されることも多い。
貸借対照表は、企業が保有している預金や不動産などの資産、そして抱えている借金などを、決算の日を基準に算出したものである。貸借対照表という名前の通り、「貸方」と「借方」に分けてそれぞれを「対照」させ、帳尻を合わせる、つまりバランスさせていることから、「バランスシート」という名前が付けられているのだ。
貸方には預金や不動産、工場の設備や備品に至るまで、様々な資産が記される。一方、借方はそれらの資産をどうやって手に入れたか、という資金の出所が記されている。株式を発行して得た資金などの「資本」と、銀行借り入れなどの「負債」だ。
貸借対照表をチェックするポイントは、まず負債の大きさだ。負債には、将来発生する従業員の退職金(退職給付引当金)など、様々な項目があるが、中でも銀行借り入れなどの利息が発生するものを「有利子負債」と呼び、特に注目している。
一方、貸方では、企業の資産がどんな使われ方をしているかをチェックする。工場の土地や設備などに使われていれば問題はないが、株式投資が過剰に行われている場合などは要注意だ。
また、経営が悪化し、借金が膨らんでいる企業では、資本がマイナスになっていることがある。いわゆる「債務超過」だ。これは、資産をすべて売却しても借金を払いきれず、さらに、会社の元手である資本金で穴埋めをしようとしても足りない状況を示す。会社を清算しても、返せない借金が残るわけで、企業としては末期的な状況だ。こうした状況が続けば、損益計算書で利益が出ていたとしても、企業の存続が極めて危うくなっていること示していると言えるのだ。
結婚相手の経済力を判断するなら、年収だけを見ていては危険だ。資産はどれだけあるのか、そして、借金の状況は…。
年収をチェックする損益計算書と同時に、資産状況を示す貸借対照表もしっかりと見定めることが、企業の台所事情を知る上で、不可欠なことなのである。