穀物や果実などを発酵・蒸留して造られる酒は、各地の文化や気候風土、嗜好などを反映し、長い歴史の中で洗練されてきた。世界各国の代表的な蒸留酒・醸造酒・リキュール(混成酒)の原料や製造法、味・香りの特徴などを紹介する。(「イミダス2001年版」掲載)
泡盛
500年余の歴史を持つ沖縄特産の酒。タイの「ラオ・カーオ」という酒がルーツではないかといわれ、その製法もタイから伝えられた。原料のタイ米を独特の黒コウジ菌(アワモリコウジカビ)で発酵させて蒸留した無色透明の酒で、アルコール度は40~50度と高い。かめで3年以上熟成させたものは古酒(クース)と呼び、珍重される。
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白酒(パイチュウ)
高梁(カオリャン)、米、小麦などの穀類を原料とする中国の無色透明の蒸留酒。唐・宋の時代にはすでに造られていたという。「焼酒」、「火酒」の別称もあるようにアルコール度数が強く、火をつけアルコール分を飛ばして飲む方法もある。乾杯の酒として知られる「茅台酒(マオタイチュウ)」も、この部類。
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韓国の酒
韓国で最もよく飲まれているのは「焼酒(ソジュ)」と呼ばれる穀類、イモ類の蒸留酒。中でも『真露(ジンロ)』は日本でもおなじみの代表的銘柄。焼酒以外には、うるち米や麦コウジを原料とし、発酵させた「法酒(ポプジュ)」というやや黄色がかった日本酒に似た醸造酒や、「マッコルリィ」と呼ばれる濁り酒などもある。
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アラック
東南アジア~中近東一帯で造られる蒸留酒。原料は国によって違い、米、サトウキビの糖みつ、ヤシの実の汁、ココヤシの樹液などが使われ、樫などのたるで貯蔵される。アラックの名は一般的にアラビア語で「汁」を意味するアラク(Araq)が語源であるといわれており、日本でも「阿剌吉酒」として江戸時代から知られていた。
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ウオツカ
ロシア特産の蒸留酒。大麦、小麦、ライ麦、トウモロコシ、ジャガイモなどの原料を発酵・蒸留してアルコール濃度の高い蒸留酒を造り、白樺などの活性炭で濾過して精製すると、純度の高い無色透明、無味無臭のさわやかな酒ができる。薬草や果実等で味や香りをつけたものも多く、中でも『ズブロッカ』は人気が高い。
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