穀物や果実などを発酵・蒸留して造られる酒は、各地の文化や気候風土、嗜好などを反映し、長い歴史の中で洗練されてきた。世界各国の代表的な蒸留酒・醸造酒・リキュール(混成酒)の原料や製造法、味・香りの特徴などを紹介する。(「イミダス2001年版」掲載)
ピルスナー
チェコのボヘミア地方プルゼニ(ピルゼン)で生まれた淡色のビール。麦芽汁を低温で時間をかけて発酵させると酵母が下方に沈殿するが、これを下面発酵ビールといい、切れ味がよく、冷やして飲むのに適したビールになる。現在、日本や世界で最も多く飲まれている淡色下面発酵ビールが、このピルスナー・タイプのビール。
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ドイツ・ビール
ビール王国ドイツでは、さまざまなビールが造られている。低温で発酵させる下面発酵ビールでは、ビール祭で飲まれるためオクトーバーフェストとも呼ばれるメルツェン、ダークという意味の濃色のデュンケル、上面発酵ビールでは、小麦を原料とするヴァイツェン、ケルンで造られるケルシュや褐色のアルト等がある。
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イギリス・ビール
イギリスでは、常温で発酵させた上面発酵ビールが主流。日本で主流の下面発酵ビールに比べ、香りが強く複雑な味わいがある。淡色のペール・エール、ホップの苦味がきいた褐色のビター・エール、濃色でアルコール度の高いスタウト(アイルランド産の『ギネス』が有名)や黒色の麦芽を使うポーター等の種類がある。
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ランビック
地ビールの宝庫・ベルギーで造られるビール。現在、ビール製造で世界的に主流となっている培養酵母を使わず、醸造所内に自然に繁殖している自然酵母を用い、長期熟成させる古典的方法で造る。酸味があり、微生物からくる複雑な風味を持つ。シメイ修道院などで造られるトラピスト・ビールが日本でも有名。
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