穀物や果実などを発酵・蒸留して造られる酒は、各地の文化や気候風土、嗜好などを反映し、長い歴史の中で洗練されてきた。世界各国の代表的な蒸留酒・醸造酒・リキュール(混成酒)の原料や製造法、味・香りの特徴などを紹介する。(「イミダス2001年版」掲載)
シャルトリューズ
「リキュールの女王」と呼ばれる薬草・香草系リキュール。フランスのシャルトリューズ修道院で生まれ、現在は民間会社で製造されるが、その130種におよぶ薬草・香草の調合は修道士によって行われ、門外不出。スパイシーでミント風味、緑色の「ヴェール」、蜂みつとハーブの風味で黄色の「ジョーヌ」などがある。
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アニス酒
地中海沿岸原産の薬草・アニスの種子を使った、香りがきつく癖の強いリキュール。フランスではパスティス、アニゼット、ギリシャではウゾ、トルコではラクと呼ばれる。アルコール度が高く、普通は水割りやソーダ割りにして飲む。無色あるいは黄褐色の透明な酒だが、水を入れると白濁するのが特徴。食欲増進にも効果的。
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カンパリ
イタリアの代表的なリキュール。鮮やかな真紅色で、適度なほろ苦さと甘さのバランスが日本でも不動の人気を誇っている。ビター・オレンジの果皮、キャラウェイ、コリアンダー、リンドウの根など30種以上の薬草・香草が使われているが、その配合は門外不出。食前酒としてソーダ割り、オレンジ割りにするのが一般的な飲み方。
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アマレット
その芳香からアーモンド・リキュールとも呼ばれるイタリアのリキュールだが、主原料はアンズの種子を蒸留したもので、これに数種のハーブ抽出液とスピリッツを加えて熟成、さらにシロップで甘みをつける。イタリアのミラノ近郊のサローノがその発祥地。アルコール度24~28度で、食後酒やカクテル、洋菓子作りに用いる。
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アドヴォカート
ブランデーに卵黄、バニラ、糖分を加え、熟成させて造ったリキュール。酒名は「弁護士」の意で、この酒を飲むと弁護士のように弁舌さわやかになるという言い伝えがある。オランダ産、ドイツ産のものが有名で、卵黄を乳化させる際、分離しないように造るのに技術を要する。ヘルシー・ブームで人気を盛り返している。
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アンゴスチュラ・ビター
ベネズエラのアンゴスチュラで創製され、現在はトリニダードトバゴで造られているリキュール。「マンハッタン」など多くのカクテルに欠かせないビターズ(苦味酒)の一種。ラムをベースに、リンドウの根の苦味成分を主にシナモン、コリアンダー、ナツメグ等を混ぜて造る。健胃、強壮、解熱剤としても効果的。
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